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2005年10月10日配信
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IT時代への戦略転換を忘れた能力開発・学習組織づくり
【1】  
明治大学 経営学部 教授   根本 孝   《プロフィール》
崩壊した日本企業のラーニング組織
 かつて日本企業の能力開発の特徴は、きめ細かなOJT、手厚い階層別教育そして継続的学習組織づくりであると認識されてきた。それは必ずしも明示的に叫ばれてきたわけではないが、経営者も従業員もそうした暗黙の認識があったと言えよう。日本企業のOJTは世界的にも評価され、また新入社員教育から始まる中堅社員、係長、課長、部長研修といった階層別教育も、「教育の体系化」「体系図づくり」を目指して拡充されていった。そして「製品を作る前に人間をつくる」とか「企業は人間道場」に代表されるように、企業は「人材育成の場」「能力開発こそ企業使命」と考えられてきた。日本企業のそうした考え方、行動様式を体系化して「学習組織」の概念やシステムが構築されたとも伝えられているのである。
 しかしながらバブル崩壊で自信を失い、「伝統・過去さらには日本的なものを捨てることこそグローバル企業への転換」とばかりに、競争力の源泉でもあった日本独自の優れた人事制度、能力開発制度の部分も捨て去ってしまい、意味不明なグローバル・スタンダードを目指してきたのが1990年代であったというのは言い過ぎだろうか。
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