キャリア ナウ  

2005年10月10日配信
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IT時代への戦略転換を忘れた能力開発・学習組織づくり
【2】  
明治大学 経営学部 教授   根本 孝
「見えない仕事、見えない仲間、見えない背中」時代の教育・学習戦略を
 しかも人事制度や組織編成、職務構造も同時に大きな変革が進められた。成果主義というより業績主義への極端な傾斜、職場の教育責任者の曖昧化、そして仕事のIT化の進展、それにともなう仕事の個人化、すなわちチームによる仕事から個人による業務処理や単独分担の増加、さらには多忙な業務、勤務時間や勤務形態の多様化による指導・相談時間やマインドの低下が職場で進行した。
 特にIT化、PC化の視点から見れば、仕事の質的・量的内容、分担構造、進め方に大きな転換をもたらした。すなわち仕事の全体像、他者との関連が見えない、同じ仕事をしているのは自分だけ、見習うべき先輩、相談すべき仲間もいない、もしくは少ない。しかも勤務時間や形態が異なり、一緒にオフィスで過ごす時間は極めて少ないなどといった現象が拡大している。すなわち「見えない仕事、見えない仲間、見えない背中」状態が日常化している。それは「見習う」とか「背中を見て育つ」ことを不可能にし、「相互研鑽」の場が失われたことにほかならない。
 こうしたIT化時代の職務・職場構造の大転換に人材教育、能力開発は対応してきたのだろうか。"IT時代の人材教育といえばe-ラーニング"では、そうした大転換とは異次元の策にしか過ぎない。ではどうすればよいのか。IT時代の「見えない仕事、見えない仲間、見えない背中」という状況にどう対応していくかが、新たな時代の教育・学習戦略の基本問題と言えよう。その対応策は次回に検討したい(続)。

☆根本先生には、次号についてもご執筆をお願いしています。☆
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