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<メンタルヘルス予防としてのキャリア・カウンセリング>
メンタルヘルス予防は一次予防、二次予防、三次予防に分けて考えることができる。一次予防はメンタルヘルスを悪化させないような対策、二次予防はメンタルヘルス悪化の早期発見と早期対応、三次予防はメンタルヘルス関連疾患の再発予防、復職の支援である。では、一次予防、二次予防、三次予防それぞれにおいてキャリア・カウンセリングがどのように寄与しうるのだろうか。
*一次予防としてのキャリア・カウンセリング
一次予防としてのキャリア・カウンセリングが行われる場合は2つある。1つは、メンタルヘルスに影響を及ぼすと予想されるキャリア上の節目に行われる場合である。新入社員、管理職に昇進した社員、退職を予定した社員全員に対してキャリア上の節目をどのように乗り切っていくかを考えていくことを目的としたキャリア・カウンセリングを行うことにより、メンタルヘルスを保ちながら、キャリア上の節目を乗り越えていくことができる。このような年代、階層に伴うキャリア上の節目以外にも、組織再編や早期退職制度の導入といった組織上の大きな変化の場合にも、メンタルヘルス上の問題が出てくる前に組織上の大きな変化にどのように対処していくかを目的としたキャリア・カウンセリングを行うことも一次予防となるであろう。
もう一つは、キャリア上の問題をすでに抱えているもののメンタルヘルスへの影響はまだ出ていない場合に行われるキャリア・カウンセリングである。キャリア・カウンセリングにおいて、キャリア上の問題に対しての問題解決を支援していくことによりメンタルヘルスの悪化を防ぐことができる。
*二次予防としてのキャリア・カウンセリング
メンタルヘルス悪化の早期発見、早期介入である二次予防としてのキャリア・カウンセリングは存在するのであろうか。「仕事が向いていない」「今の仕事にモチベーションが持てない」という相談はキャリア・カウンセリングでよく受けるものである。その相談自体は、まさに「キャリア」の問題であるが、注意深く相談を聞いていくと、時として、その背景にメンタルヘルスの悪化があることがある。キャリア・カウンセラーはキャリアの問題の相談に乗る際に、仕事の自信のなさや意欲低下がメンタルヘルスの悪化によるものではないか、治療を要するものではないかを注意する必要がある。実際、筆者のもとに「今の仕事が向いていない」と相談に訪れたクライアントにうつ状態が見られたため、うつ病の治療を優先させ、治療によりうつ状態が改善したことにより仕事への不適応感や自信喪失が完全に消失した、というケースがあった。キャリアに関する相談は相談者にとって抵抗感なく相談しやすい内容であるため、キャリアに関する相談を入り口にメンタルヘルス不全の早期発見、早期介入につながることがある。
*三次予防としてのキャリア・カウンセリング
復職支援、再発予防である三次予防としてのキャリア・カウンセリングは特に重要である。なぜなら、休職者はメンタルヘルス悪化による休職の原因としてのキャリアの問題と、休職によって生じた復職後のキャリアの問題、という二方向の問題を抱えているからである。休復職者に対するキャリア・カウンセリングをどのように行っていくべきかについて、次回、述べていくこととしたい。
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