キャリア形成推進マガジン
キャリアに関する研究者からの提言 【キャリア・ナウ】

2010年8月10日配信
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キャリア・コンサルティングの心構え
【2】
高橋ヒューマン・スキル研究所 主宰 心理カウンセラー 高橋 正幸

チームリーダーの姿勢

1.共に歩む姿勢
 マズローの欲求の5段階のなかに含まれている「認められたい」、「褒められたい」など、人間本来の欲求を誰しももっている(これを承認の欲求といっている)。その点に配慮し、コンサルティングの場では傾聴の精神を忘れずに、しかも、その中に褒め材料があれば見逃さず褒めながら話し合いを進めていかなければならない。
 また、必要に応じて、後ろ姿で教える精神と姿勢が大切である。「人間は好意をもった相手からより多くを学ぶ」ともいわれている。
 日常特に問題意識もなく平凡に業務を遂行している社員に、チームリーダーのほうから、一方的に「私の経験から××風にするといい」と教示するような接し方は、そのチームメンバーから「何、余計なことを言っているんだ。私はいままでこのやり方でやってきていて問題はないのだ」と、好意と受け止めず、逆に反発されかねない。
 指導関係で大切なのは、前に立って相手の手を引っ張るのではなく、相手と共に歩く、即ち、問題を共有化し、改善の方向に向かって、共に歩むところからスタートしなければならないという点である。そうすることによって、はじめてチームメンバーがチームリーダーに対して人間的な好意をもち、リーダーの話を聞こうという気持ちになる。

2.相手に「学ぼう」という気持ちをおこさせるアプローチ
 このように指導者が被指導者の職務遂行の仕方について、ズバリその問題点を指摘するのではなく「現在の遂行の仕方についてどう考えてやっているの?」と、まず、相手の考え方、意見を聞くことからスタートするのがベストである。
 そうすると相手は自分の考え方を説明する機会となり、その中に、「この際、自分をわかってもらいたい」「自分の仕事全体について認めてもらいたい」という承認の欲求が生まれてきて話をすることだろう。
 その話を否定的に受け止めるのではなく、肯定的に、無条件に受け止めるように心掛けると、相手も非常な満足感を味わい、次に「この点については、現在満足していないので、今後の課題だと思っています」などと問題点についても自分から話をすることだろう。しかし、自分以外の人から問題点を指摘されると、自己防衛本能がはたらいて自己概念を守ろうとするのが人間の心理で、反発心となってあらわれてくる。(これは永年のカウンセラーとしての経験から実感として受け止めていることである)
 そこで指導者はまず相手の話の同意できる部分について賛同の意を伝え、次に相手が述べた問題点と自分が考えている問題点が同じであればよいが、そうでない場合は自分の立場としてはこう思うという点を話し、相手に理解してもらう。そして職務の改善については、例えば、「職業能力開発計画」を作成するよう話し、指導者も作成することを伝え、お互いがその計画書をつきあわせて、修正したあと日常業務にとりいれてもらう。

3.フォロー・アップ
 「人間の行動の95%は習慣性に基づく」といわれている。
 従って、その後は定期的にフォロー・アップのために面談をし、相手の職務行動が計画書通り実行され、習慣化されているかどうか確認してみる。もし計画と日常業務の間にズレが生じている場合には、その問題点の解決について話し合い、お互いが納得できる修正をしてこそ、効果的なキャリア・コンサルティングといえる。

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