キャリア形成推進マガジン
フロントライン == キャリア開発の最前線 ==
 

2010年8月10日配信
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教育現場のキャリア・カウンセラーは・・・
=== 専門的なアプローチ ===
【2】
 ソニー学園 湘北短期大学 キャリアサポート部 部長 近藤 章雄
◆学生の社会的スキルの向上

 レストランで注文するとき「ジュース」、「コーヒー」と単語で注文していませんか?買い物をしてレジに無言で品物を差し出すのは日本人だけ、という話を聞いたことがある。「~して下さい」「○○をお願いします」という表現は相手に何か頼をむときに、とても大切な言葉である。誰かに何かしてもらうとき「お願いします」、何かしてもらって「ありがとう」と言うのは当たり前のこと。
 学生の日常会話で、「○○は、ムリ!」という言葉を聞くことがある。会社に入って上司からの指示に「それは、ムリ」という返事はあり得ない。学力や専門知識があったとしても時間が守れない、挨拶一つ満足にできなければ就職内定はもらえない。

 しかし、この当たり前のことや日常の挨拶さえできない学生は少なくない。こうしたことへの訓練のために授業では、プリントを配らずあえて学生に取りに来させる。そこで「ありがとうございます」の指導をする。また、「あいさつ」の意味や必要性を考えるワークショップ(講義ではなく体験)に90分かけることもある。このように学生に対するキャリア・コンサルティングは、前述の学生に対する相談に限らず、色々な機会をとらえて、学生の社会的なスキルの向上や、対人関係の向上を図らなければならない。そのために、社会的スキルや対人関係スキルの向上訓練に関する知識や経験も必要になってくる。

 電車の中で、化粧をしている女性(高校生からOLまで)、平気で食事をしている人を見かけることがある。公的な場所と私的な場所との区別がなく、その風景は「携帯をもったサル」と揶揄される。人との関係が築けず、自分の考えや意見を伝えることが苦手な「引きこもり」。このような行動は性格によるものか?生まれ持った性格は変わらないと考えれば、変化への援助はおこなわれず、クライエントの成長は望めない。

 しかし、性格は生得的なものではないことから、対人関係スキルの向上訓練を積めば、認知や行動に変化が起こり性格も変化する。「生きる力」「社会人基礎力」「就業力」など色々な表現があるが、学生の就職指導、キャリア教育にとって重要なことは「社会人としての自立」や「社会適応力」の支援をすることであり、これが教育の現場力である。

 人と人との間で生活し社会で働くためには、自分と他人を意識しながら適応していく(自分も大切、他人も大切。OK-OKの関係)能力が必要になる。社会的スキルは、人間関係を円滑に運ぶための知恵であり、訓練(学習・体験)によって向上させることが可能である。生きていくための原点がここにある。

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