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◆学生にとって就職活動は「真冬の温泉旅行?」
『真冬』とは、雇用環境・経済状況のこと。100年に1度というリーマン・ショックが世界を駆け巡り、その後もドバイ・ショックや最近のギリシャ財政破綻など「金融危機」は津波のように押しかけてくる。このような経済状況の中で、雇用環境は最悪。人員削減(契約解除、自宅待機、賃金カットなど)、新規採用の凍結など先行きの見通しが立たない状況が続いている。まさに「真冬の時代」である。
『温泉旅行』とは、若者が将来「どこに向かおうとしているのか」若者のキャリア・イメージのことである。そもそも、今どきの若者(大学生・短大生)は何を考え、将来の自分(人生)をどう描こうとしているのか。温泉は露天風呂。外は冬景色。温泉は入っていれば気分がいいが、外に出ようとすると寒くて震えてしまう。結局また、居心地のいいお湯の中へ漬かってしまう。いつまでたっても現実社会に出ることを回避し続けている。女子学生が多い本学では、結論から言えば、結婚願望と専業主婦ばかり。「素敵な彼と結婚して、専業主婦として子どもを育てたい」と言ったら過言だろうか。
ここに、マイナビ(株式会社 毎日コミュニケーションズ)のアンケート結果を示します。
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図1:「働くこと」への価値観(就職観の推移)
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図2:「会社選択」のポイント |
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職業観に関しては、「楽しく働きたい」が断トツのトップ。「社会貢献」「収入」「出世」は下位ランク(図1) |
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会社選択のポイントでは、「やりたい仕事」がトップ。僅差で「働きがい」「安定している会社」となっている(図2) |
| (出典:株式会社 毎日コミュニケーションズ「2008年度大学生の就職意識調査結果報告」) |
学生たちは、収入よりは「仕事は楽しく」、一生続けられる会社より「やりたい仕事ができる会社」を探す傾向にある。そこで、「どうしたら、その仕事に就くことができるのか」が問題となる。
採用試験のエントリーシートにアルバイト経験を書く学生は多い。次にサークル活動や学友会活動が来る。しかし、その内容は誰しもが経験するような内容で、具体性に乏しく抽象的であることから説得力がなく、どれも同じように見える。大学のレポートであれば(過不足はあるものの)単位の取れるレベルに仕上がっている。しかし、採用試験となれば話は違って、平均レベルでは落ちてしまうことに気づいていない。
考えることをしない「カット&ペースト学生」(Webからキーワード検索で探し、貼り付ける。形は整っているが、自分の考えはない)を、日本の教育は生み出してしまった。しかし、企業が採用にあたって求める能力は、「コミュニケーション力」と「主体性」。つまり受身ではなく、積極的に他人に働き掛ける人材である。
どうも、学生の考えている人物像(なりたい自分)と、企業が求めている人材にはギャップがあるようだ。
このような状況の中で、教育現場のキャリア・カウンセラーとして私は、働くことに「真剣になれない学生」のありのままを受け入れることの難しさを日々感じている。
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