キャリア形成推進マガジン
フロントライン == キャリア開発の最前線 ==

2010年6月10日配信
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教育現場のキャリア・カウンセラーは・・・
=== 働くことに「真剣になれない学生」とキャリア・カウンセラーのジレンマ ===
【2】
 ソニー学園 湘北短期大学 キャリアサポート部 部長 近藤 章雄

◆ヤマアラシ(ハリネズミ)のジレンマ

 寒さの中、二匹のヤマアラシが暖め合おうと近づきます。しかし、近づきすぎるとお互いの体の針が相手に刺さってしまう。かといって離れると寒くなる。二匹は近づいたり離れたりを繰り返し、ようやくお互いに傷つかず、寒くも無い距離を見つける。哲学者ショーペンハウエルの寓話を元に心理学の大家フロイトが考えたお話です。

○ヤマアラシA:受容的態度
 学生のキャリア支援と、社会人のキャリア支援との決定的な違いは、学生は「仕事理解」「職業理解」がほとんど出来ていないことにある。
 学生に「どんな仕事がしたいのか?」「どんな仕事があるのか?」と尋ねても、具体的な答え(期待値)が返ってこないことを理解し相談内容を組み立てる。つまり、「働くこと」について会話がかみ合わない、話が続かないことを前提に相談にあたる点にある。職業に関する情報は溢れている。しかし、学生にとって、いざ就職活動を始めてみると、(1)どんな会社があって、(2)どんな仕事をしているのか。(3)自分にあった仕事を探すには、どうしたらよいのか。(4)仕事に就くには、どんな能力が必要か・・と悩んだあげく「分かりません・・」「知りません・・」といった素直すぎる学生の気持ちを無条件に受容する態度がキャリア・カウンセラーの基本となる。

○ヤマアラシB:支持的姿勢
 キャリア・カウンセラーにとって、学生の言うことを「傾聴」することはリレーションを作る意味から大変重要である。しかし、学生を就職させるためにはそれだけでは不十分である。就職活動には締切(会社説明会や応募期間など)・納期(エントリーシート、履歴書)がある。自分が期日までに書けないからといって応募先企業が待ってくれることはない。会社は学生の都合で予定を変更したりはしない。自分に都合があるように、相手にも都合があるのは当然のことである。大学におけるキャリア・カウンセラーの責務は、卒業までに内定を獲得させることにある。教育現場のキャリア・カウンセラーは、常に期限を意識し積極的に学生の考えを引き出し、明確化し、判断し、決断させ、行動に移させる。場合によっては支持的な行為や本人と対決する姿勢を伴うことを理解し実行できるカウンセリング理論と技術は、教育現場におけるキャリア・カウンセラーにとって不可欠な能力である。就職活動は、学生本人が行動しなければ内定を勝ち取ることは出来ない。そしてその行動には、必ず期限がある。
 学生は、「何かしてもらえる」のが当たり前だと思っている。そして、許してくれると信じている。しかし、現実的には「厳しさの無い、優しさはない」ことを知らないことに、キャリア・カウンセラーのジレンマがある。

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