前号 キャリア形成推進マガジン
キャリア・コンサルティングの現場からの報告

2010年3月10日配信
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日常習慣を見直してみよう
   その発言や行動は相手の"承認欲求"を満たしますか?
【1】
 株式会社ラポール企画 代表取締役 大小原 利信 《プロフィール》
 「上司が細かいことに口うるさくて、前向きに仕事をしたくなくなる...」。この言葉から、製造技術部門のKさんのカウンセリングは始まりました。
 「私は部下数人と、新製品を早く、安く、品質良く量産体制にするために、設計指示通りに製品を試作して、製品に問題がないかを評価しています。職場ではみんなで知恵を出しながら、より良い製品を早く出荷に結び付けたいとの気持ちで一致団結して、本来自分達がかかわらなくてもいいような、設計部門との調整や新しい加工方法、それに素材などについても議論をしながら仕事をしてきました。そして、設計者でさえも気がつかない方式を提案したり、原価対策などでもそれなりの成果を上げることができました。ほんとうに満足して仕事に打ち込むことができました。上司のT部長も自分達の業務に関して良い評価を与えてくれて、自分達である程度の裁量を持って仕事をしていました。」
 「しかし、最近、些細な作業ミスから製品のトラブルが発生して、T部長から一方的に『なんで間違えた』と叱責されました。私が説明をしてもT部長に上げ足を取られるばかりで、本当に仕事が嫌になってきました」。そしてKさんはこう続けました。「これまでは、仕事の実績があり、自分達の裁量で仕事を進めることができて、みんなやりがいを持って伸び伸びと仕事に集中していました。けれども、たった一つの些細なミスからこんな言い方をされるのは悔しい。」
 「最近では、生産効率を高めるためにJIT(ジャストインタイム)活動が行われ、問題が発生した時の原因追求は会社の方針であり、その追求はさらに厳しく行われています。今回の問題は作業していた人のケアレスミスが原因なので、『原因追究しろ』と言われても、その結論は作業者自身を責めることになってしまいます。」
 そしてKさんは自分の思いを率直に切り出しました。「何故?何故?何故?何故?何故?と厳しく原因を追及するだけでは、作業者がやる気をなくしてしまうだけで何の解決にも結びつかない。このことを思うと会社に来るのも嫌になってしまう時がある...。」

 が進むうちに、Kさんの"落ち込み"が浮き彫りになり、その切っ掛けが、会社の方針とKさんの考えとのギャップであることが見えてきました。

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