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キャリア・コンサルティングの現場からの報告
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2010年1月10日配信
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リーダーシップの極意は、部下の話をしっかりと聴き課題形成ができること
   
=== 部下の対応で苦慮する女性管理職の事例より ===
【1】
 株式会社ラポール企画 代表取締役 大小原 利信 《プロフィール》
 る日女性管理職Yさんからメールが入って、カウンセリングを行うこととなりました。Yさんは人事部が行っている「40歳キャリアデザイン研修」でキャリアサポートチームの存在を知り、自分の仕事や労務管理などのアドバイスをもらえることを期待して訪れました。
 談は、Yさんの「自分のリーダーシップが無いために部下の元気がなく、営業成績も上がらずに困っている」との言葉で始まりました。入社以来営業畑で経験を積んで営業職場では数少ない女性管理職になりましたが、部下の指導に対しては若干戸惑いを感じていて「実は部下は仕事には真面目に取り組んでくれるんですが、盛り上がりに欠るというか、もう少し積極的な行動を期待しているんですが、思うように動いてもらえないことがもどかしいんです。私のリーダーシップの問題でしょうか?」と切り出しました。「もう少し詳しく話してくれますか?」と促すと、職場の状況を話し始めました。
 「私の職場は銀行向けのシステム機器を売るための営業を担当していて、一人ひとりの担当銀行が決まっています。営業が頑張って商品を売っていかないと会社の売り上げや利益、工場の仕事量など様々な影響が出てしまう。年度ごとの売り上げ目標も高い数値を設定されているので、年度末に向かって心配な状況になっています。また、最近の営業は単純にハード製品を売るだけでなくSE(システムエンジニア)の業務を把握して、お客さんに合わせてソリューション営業(お客さんのメリットとなるようにシステム提案する)する必要があり、営業方法が変わっているので、プレッシャーが多くなっています。もちろん、システム的な学習や情報の提供などは行っているが、成績が上がらない状況が続いている」とのお話でした。
 りわけ現状の銀行業界は合併が繰り返されていて、今まで担当した部門の方が他部門に移ってしまい、ネットーワークが無くなってしまうことや、銀行自体の経営状況が厳しく、本来ならシステム更新時期にもかかわらず、新しい機器を購入する銀行はまれな状況であり、売り上げが上がらずに苦慮しているとのことです。そのため様々な事態を想定してアプローチをして営業活動しているが、まさに過去に経験したことのない状況となっているそうです。
 さんは、このような厳しい環境下でも課内の定例会議などで数値目標と現状の実績を確認した上で、お互いの情報を共有したり、自分の経験を基に説明して部下を激励したり、さらに銀行ごとのアプローチの方法など紹介したりしているが、部下の表情には暗雲が漂っている状態で、心もとない感じがしているそうです。また、このような雰囲気を解消しようと、そして、職場のモチベーションを高めるために飲み会をなるべく多く開いて懇親をし、各自の課題を出し合って改善を図りたいとは思っているが、最近は参加するメンバーが限られてきていて、まったく参加しない部下もいる状態になってきているとのことです。その上、人事部の指示通りに管理職として目標管理制度やボーナスなどの成果評価、キャリアデザイン面接などなど様々な面接はきちっと行っているが、いまいち部下が腹を割って話をしてくれないように感じる・・と自信をなくしている様子でした。
 こで私はYさんの努力を認めながら、"橋の石工"を例として説明しました。キャリアを学習した方はご存じとは思いますが、"橋の石工"とは次のようなものです。
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