キャリア形成推進マガジン
キャリアに関する研究者からの提言 【キャリア・ナウ】

2009年12月10日配信
キャリア ナウ 一覧へ戻る
就職危機の現状
【2】
社団法人 大阪府経営合理化協会 人財開発部マネージャー 土肥 眞琴
 「努力が足りない」、「世の中のことがわかっていない」、「自分には社会に認められる能力がない」、「自分は社会から必要とされていない」。採用試験に落ち続ける学生は、このような否定的メッセージを受け続け、自尊感情を著しく傷つけられる。10月を過ぎると、2011年卒業予定者の就職活動が本格化してくるため、「未内定で就職活動を継続する姿を下級生に見られたくない」という心理的抵抗も目立ってくる。
 10月23日に内閣府から発表された「緊急雇用対策」の主柱の一つとして「新卒者支援」が挙げられている。支援措置の一つとして「合同就職説明会等の開催」があり、11月以降も各地で合同就職説明会が多数開催される予定であるが、合同就職説明会に参加する求人企業は、大半が「学生にとって認知度の低い中小企業」であり、仕事内容も、学生の希望するものと相違が大きい。企業側も採用基準を厳しくしており、自社の要件に合わない場合、「採用してから育てる」余裕がない場合も多い。この時期まで就職活動に苦労している学生は、「自己理解」「職業理解」が十分でなく、「職業意識」も未熟である者が多く、企業ブースを積極的に回って、自分をアピールすることは苦手な者が多いため、キャリア・コンサルタントなどの支援スタッフが、個別にアテンドするなどのサポートが必要である。
 日、筆者もある合同就職説明会で就職活動相談を担当する機会があったが、その時相談に訪れた学生に対する共通した印象は「なんと、もったいない!」である。
 業選択・職業選択の「理由」が、極めて限定的で、ほんの些細な(もちろん、本人達にとっては、その時点では非常に重大な事件と認識されている)出来事が原因で、簡単に「自分には向かない」「自分はダメ」と結論づけている。しかし、別の視点がある可能性を示すと、急展開を見せ、自分で打開策を考えだせる。また、就職活動の中で、自己肯定感が低くなっている学生も多いが、自分を見る枠組みを変えることを示せば、劇的に変化する。合同就職面接会の会場という限定的な場でも、このような「効果」があるのだから、通常の学生生活・日常生活において、専門的なキャリア開発支援を受ける機会に恵まれれば、大多数の学生は、多少の波乱はあるにせよ、ほぼ円滑に社会人への移行を果たせると確信する。
 のような状況を鑑み、各教育機関では、「キャリア教育」に一層注力することが要望されている。次回は、大学教育における「キャリア教育」について、教育を受ける側である学生の視点に基づく実践報告を行いたい。
<< 前に戻る 2/2 最初のページへ戻る
前号
次号
▲このページのTOPに戻る