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キャリア・コンサルティングの現場からの報告
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2009年6月10日配信
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卒業生のキャリア支援
【1】
 キャリアカウンセラー 小板橋 孝雄 《プロフィール》
 月、ゴールデンウィークの谷間。授業が始まり1ヶ月。就職活動をしている2年生には本当に頭が下がります。月曜日から金曜日まで授業があり、資格取得の勉強、課外活動、アルバイト、そして就職活動・・。スケジュール管理が活動の要になりますが体力と気力も必須です。こんなときにアルバイトは一時的にでも辞めたほうがと学生を促すと、最近の不景気で「親がリストラに会い学費を自分で払わなければならない」と告白されたときは私も言葉に詰まりました。最近、そんな学生が増えています。昨年あたりから学費の支払いが遅れて就職にも影響がでるといったケースが出始めましたが、今年はさらに増えるのではと心配しています。
 休中も学生支援は続きますが、夕方になると卒業生が学校を訪れます。望みどおりの配属になった、先輩や同僚に恵まれて毎日楽しい、同期に比べると自分は能力が劣っていて辛い、いきなり責任の重い仕事を任せられて困惑しているなど悲喜交々です。勤務中の昼休みに電話をかけてきて、「もう辞めたい」と一言だけ・・・。気になるケースもあります。話を聞いていると、仕事の質・量とも年々高度になり精神的余裕の無いOGが増えているように思います。余裕が無いのは新人だけでなく世代を超えて抱えている企業の問題なのかと想像したくなるほどです。この時期は特に多いのですが4月で電話も含めれば20数名の卒業生から連絡や相談がありました。
 2009年1月。下旬から始まる期末試験を前に卒業を意識し始め、その先にある社会人への第一歩を想像し始める・・・。不安と期待が交錯し複雑な気持ちがピークになる時期です。キャリア支援センターでは卒業していく2年生全員に向けて最後の講座を実施します。目的は卒業後も自分のキャリアを築いていくためのサポート機能として学校を選択肢の一つに加えてほしいこと、学校との絆を大切にして欲しいことを伝える。内容は卒業生に向けて外部講師からメッセージ、キャリア支援センターが行うサポートの概要説明、そして最後に「半年後の自分へ」と題して自分への手紙を書きます。手紙は社会人になって半年後の10月に本人の手元に届きます。自分への励ましや過去の自分から現在の自分自身を客観的に見つめるキッカケになればと願っています。
 年から始めたこの企画。最初は自分に出す手紙なんてと戸惑っていた学生たちも隣の人と話し合い、近未来の自分を想像しているうちに、イラストを描く、一文字だけ書く、みんなで寄せ書きをするなど半年後にこうなっていたいという自分を思い描きながら楽しそうにワークを進めています。大半が「楽しみにしている」と笑顔で教室を去っていきました。この講座は一昨年から始まった本学の「卒業生キャリア支援」の一環として行っています。
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