1年生の9月からキャリア形成に関する授業や就職講座で醸成されたはずの「職業に関する自分の興味や関心」や「仕事に対する見方・考え方、意欲、態度」、「自己理解・自己表現」などが本人の心の片隅に追いやられ、「どのようにして内定を獲得するか」という一点に意識が集中します。誰かが合格した、落ちたなどという噂に振り回されているのが現状です。「私・・・、うつ・・。」、「やりたいことが分からない。」、「何をしたらいいかわからない。」。頻繁に聞くこれらの言葉にはほとんど本心はなく、まわりの動きを意識するあまり本人のなかでマイナスの感情ばかりが大きくなり、混乱した気持ちの整理がつかないのです。この時期はこうした負の感情をしっかり受け止めて聞いてあげることから始まります。ある程度話きったところで、「他にも自分の心や頭に入っているものがあったら全部出して」と促せば様々な呟きが漏れてきます。「本当はこんな仕事がしたい・・。」、「親が自分のやりたい仕事に反対していてやりたいことがわからない。」、「活動方法はわかっているが動けない自分が歯がゆい。」、「就職活動をキッカケに家族や友達とうまくいっていない。」、「お金さえあれば本当は編入や留学をしたい。」。
時々気持ちや考えをホワイトボードに書いて、学生と一緒に整理する。本人も自分のなかに色々な思いや考えがあることに気づき、その中の一つの感情に支配されていた自分を冷静に客観的に観られるようになります。少し落ち着いてから「一番気になっていることはこの中のどれ?」、「一番最初に解決したいことは?」、「何があなたの活動を止めている?」などと話し合いながら問題解決の手掛かりを探したり、今後の行動計画をボードに書きながら二人で確認です。さらに簡単にできそうなことを本人に述べてもらい、いつまでに何をするかも話し合って書き記します。ホワイトボードにはコピー機能がついているのでそれを2枚コピーして次回の相談のときに進捗具合をチェックするのです。「できてなくてもいいから1週間後にまた来てね」と約束して次の学生の相談へ・・・。
「授業で自己理解、職業理解をやったけれどピンと来ない・・。」、「活動しているこの時期にあの授業をやってほしかった。」、「人事採用担当者の話も今聞きたかった。」。9月から12月にキャリア関連の授業や就職講座を実施しますが、集中し想像力を働かして自分の中に取り込むことを苦手とする学生が増えた今、活動中にも効果的な支援方法が必要と考えました。もう一度一人ひとりのニーズや置かれている状況に応じて様々な手段を講じます。
私の相談ブースの後ろにはホワイトボードとキャスター付の椅子とテーブルが置いてあり、少人数でワークショップ、1対1で講義、また学生同士の話し合いの場、個別相談から10名程度の講義まで、訪れた学生のニーズに合わせて様々な対応が臨機応変にできるようになっています。ここは「相談室」、「グループディスカッションの場」、「教室」と様々に変化。場に応じてカウンセラー、ファシリテーター、講師と私も変化するのです(しているつもりです)。多いときは1日に延べ40人もの対応が可能となるのはこうした手法を活用しているからです。
今年は3月から毎日20人程度の相談を続けています。例年になく異様な事態です。いつもなら3月から徐々に内々定が出始め5月後半から就職活動を終える学生が徐々に増え、喜びの"気"がこの部屋に入り込んできます。しかし今のところそんな予測が立てられません。「いつまでこの重い"気"を背負うのか・・・。」、「あと一年早く生まれればよかった・・。」という弱気な学生の呟きを聞いていると、私自身まだ先がはっきり見えないのが現状です。 |