| 「私は分析の極点に何か一つ「現実」の契機が助けに来てくれることが必要だ、という感に・・・・最後の仕上げの総合力は、いつ来るともしれぬ現実の出現にまたなければならぬのだ。」
先日、友人から薦められ、三島由紀夫の作品を一冊何でもいいから読もうと思い、気まぐれとうか直感というか、本屋で作品一覧を眺めながら抜き取ったら、「音楽」という作品に出会いました。三島文学の主流とはいえない作品のようですが、偶然にも精神分析医と患者の物語を私は選んだのです。主人公のこの言葉に私は反応し、自分の仕事と重ね合わせました。
現在2010年度新卒学生(主に短大生300人担当)の就職活動支援真っ只中。グループ相談も含め1日に20~30人の相談を受けます。平均一人30分くらいで午前9時に始まり、ふと気がつくと午後7時。キャリア・コンサルティングで時間がかかる時もあれば、企業情報提供・活動ノウハウ(履歴書・エントリーシートチェック、面接指導など)だけで終わることもあります。夕方になると学生から「疲れた顔してますね」なんて言われてしまうことも・・・。こんな状態が6月下旬まで毎日続きます。帰宅したら妻と息子にカウンセリングしてもらわないと後の3ヶ月は持ちません・・・。
活動に行き詰ったり、自己理解、自己表現や将来の夢に悩んでいるなど厳しい就職戦線で精神的に疲れている人たちの力になれば、何かに気づいてくれたらと精一杯支援していますが、本人が良い方向へ変化するうえで一番効果があるのは活動中の体験です。「活動中の体験」が一人ひとりの学生の良き指導者となるのです。私は相談の中で、キャリア・コンサルティング・グループファシリテーション、コーチング、NLPなど様々な手段を用いますが、私との相談による学生達への影響などたかが知れています。この体験は私が意図的に作ることなどできるわけはなく、活動中に偶然起こることです。「会社説明会で聞いた話、そこで知り合った学生同士の情報交換、面接で人事の人から問われた自分自身、友達や親との何気ない会話、会社訪問で出会ったOGが漏らした本音など」外で起こる出来事に自然と反応し変化していく学生がなんと多いことか・・・。現場にいると非力な自分を痛感します。
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