キャリア形成推進マガジン
キャリア・コンサルティングの現場からの報告

2009年4月10日配信
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厳しい就職戦線で学生と私が大切にしていること
 ~ 偶然にかける ~
【2】
 キャリアカウンセラー 小板橋 孝雄
 こで学生たちには体験したことをメモに残したり、先生や仲間、親と話し合ったり、私に報告してほしいと繰り返し伝えます。企業情報の提供や就職活動のノウハウの伝授などもちろん必要不可欠なことですが、私が一番大切にしていることは「体験の振返り」であり、学生に「気づき」をもたらすことと「その意味」を考えさせること。そして、外で彼らに起こる偶然(音楽という本のなかで主人公が言う現実の出現)を忍耐強く待つ(就職活動にはタイミングがあるので限界がありますが)ことです。フォーマルなアセスメントではピンと来なかった職業的自己概念(職業興味・能力・価値観など)が、体験の振返りとその言語化を繰り返していく中で本人にとって確かなものになっていく・・・。そんなケースを何度も目の当たりにします。
 職先が決定するまで担当者が何度でも相談にのる私たちの就職支援において、この二つのことが、長い目で見ると本人を良い方向へ変化させる(就職活動を前向きに捉え行動し、自分のキャリアも肯定的に考える)ために、最も大切であると私は考えています。一つひとつの体験を振り返る作業を積み重ねた後、本学では就職活動終了時に、学生が自分自身の活動体験を物語風に文章にまとめたり、一年生の前でそれを発表します。数か月の時間を経て改めて第三者的に自分の活動を振り返ってみると、新たな気づきや学びがあるのです。そしてこの活動に対して自分なりの肯定的意味付けができるようになります。自己効力感の弱かった学生たちが、日々の活動において何事にも意欲的に取り組み、仕事へも不安だけでなく少しだけ期待を持つように変化する。この仕事をやっていて一番うれしい瞬間です。
 日まで、バブルの崩壊や金融危機のなか、学生の就職支援を経験してきましたが、「色々な意味で(?)今年はさらに厳しいかもしれない・・・。」と直感しています。これから就職戦線の現場で起こる学生たちとの物語や私の思いや考えをこの場でお伝えし、少しでも皆様の参考になる内容になればと願っています。
 偶然とはいえ、就職支援が本格的に始まる直前にこの本と出会ったのは不思議な感じがします。学生と同様にこの出来事に自分なりの意味づけをしたのかもしれません。
 の本の最後に書かれていた主人公の言葉も、思わず頷いてしまうようなものでした。

 「しかし決して落胆せず、放り出さないという意思だけが、分析医と患者との最低限の契約条件であり、又、最高のつながりでもあると思われる」

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