| キャリア・コンサルティングの技能検定が始まり、従来の標準レベルから熟練レベルへさらに高い専門性が要求されています。熟練レベルに求められているのは「厚みと温かみがあって安心して相談できるレベル」ということで、相談者の話をしっかりと聴き取れることとなっています。相談者の話が聴けなければ、抱えている問題も正確にはとらえられません。
カウンセリングにしてもキャリア・コンサルティングにしても、正確に話を聴くことの難しさを日々痛感させられますが、キャリア・コンサルティングで陥りやすいのは、相談者の「困っているパターン」を見てしまい、そのパターンであればこういった解決策があると思い込んでしまう所ではないでしょうか。人を見ず、相手の気持ちをくまずして問題だけを解決しようとすれば自分の知っているパターンを高圧的に押し付けることになってしまう、時々そのような方に出会います。まずは相手を聴くということが大切だと思います。
昨秋より急激に社会環境が悪化しており、キャリアをめぐっては、非正規社員の削減、外国人雇用者の解雇、内定取り消しなど深刻な問題が顕在化しています。今の状況の中で、キャリア・コンサルタントが何者であるか真の専門性と力量が問われており、求められているのは就職支援や適性マッチングではなく、さまざまな局面でのライフ・キャリア、生き方そのものに対してどれだけ関われるかということではないかと思っています。キャリア・コンサルタントは自己理解、仕事理解といった「理解」のレベルではなく、そこから自分の能力や従事する仕事に対するプライドを持てるような意識変革にまで持っていかなければなりません。
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