キャリア形成推進マガジン
キャリア・コンサルティングの現場からの報告

2009年2月10日配信
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カウンセリングルームから見えるキャリアの諸相
 【第5回】組織におけるキャリア・カウンセリングについて
【2】
財団法人関西カウンセリングセンター認定 上級心理臨床カウンセラー・キャリアカウンセラー 横山 慶一
課題と対応 (図2)

 ヒューマン・サービスを行う上で阻害要因は以下のような点です。
1. 現状の体制では組織内従業員本人のみが対象であり、個々人の持っている多くの関係性をカバーできていない。
2. 組織経営目線の人材育成(マネジメント、リーダシップ)に偏っており、個人の成長や自己実現の促進あるいは適応支援という視点が弱い。
3. 担当領域が重なり合った業務(人事労政と健康管理スタッフなど)では、お互いの職務権限(業務分掌)の限界があり、たとえばメンタル不全からの職復帰などにおいて、個人の性格適性や病歴を知っている健康管理スタッフは異動権限がなく、(個人情報としての病歴を知らされていない)人事部が異動を実施するため、復帰がうまくいかないようなケースが発生する。

 これらの課題を解決するために以下のような関わり方が必要とだと考えています。
1. 多様性に対応できる発想に転換をする:「企業や組織は個人の生きる環境の一部」という発想で、個人の生活の充実を「幸福度(=満足度)」なども考慮する。また、仕事人としての期間が長期化しており、退職後も第2期の仕事を盛り込んだ人生設計が必要な時代となりつつあり、個人に焦点を当てることで、組織人としてだけでなく生涯にわたるその人の多様なライフ・キャリア・デザイン設計の支援も可能となる。
2. 関与する対象を拡大する:従業員の組織内活動にのみをとするのではなく、その家族や地域でのコミュニティもサポート対象とし積極的に関わるべきである。
3. 人材育成と適応支援の双方向の視点を持つ:人材育成については、組織人としての視点に加え、個人の成長を踏まえた自己成長の育成プログラムを加える(たとえば、キャリア・デザインやアサーション・トレーニング等のほか、子育て、地域活動など)。また、適応支援という視点から個人に焦点を当てたサービスの提供が必要と考える。人材育成は技術やスキルはいわば「武器(Skill=Weapon)」の提供であり、それを使用する人の「体力や心(Human=Mind)」を健全に保つ総合的支援が適応支援として重要である。
4. マネジメント可能な再定義を行う:全人的なヒューマン・サービスを実施するには広領域の関与が必要となってくるが、現在はサポート対象が不明確なため、各活動領域でのサービス可能な役割のアサインとその範囲を明確にすべきである。
5. 連携ではなく真の統合を:ヒューマン・サービスを実現する際大きな障害となるのは、組織の縦割り構造と業務分掌にあると思われる。全人的なヒューマン・サービスでは、人事スタッフ(労務・教育)、健康保険スタッフ、社内外相談カウンセラーなど多くの部門やスタッフがひとりの人の支援に関与する。円滑で柔軟な支援のためには各部門の連携よりもひとつの部門(リエゾン・オフィス)に統合されることが合理的である。ライン(上司-部下という縦の関係)に捕らわれない個人面談をベースにした活動を遂行するためにキャリア・サポートルーム、キャリア・デザイン・ルーム(従来のカウンセリング・ルームとは異なる)、キャリア・サポートセンター等と呼ばれる組織を既存部門から独立させて設置し、リエゾン・パーソンを配置すると効果的な活動ができるのではないだろうか。

 実際には、現実的な多くの問題があり全人的なヒューマン・サービスの実現はこれからですが、当面は人材育成と適応支援の2つの視点から組織におけるカウンセリングのあり方について考えていきたいと思っています。
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