| キャリア ・コンサルティングの現場から
はじめに
「就労」や「自立」をキーワードとして支援を希望する若年者の中には、精神疾患や発達障害などがその背景にあり、就労上の工夫が求められる者がいる。全国各地の地域若者サポートステーションのホームページには若年者に対する多様性に富んだ支援アプローチなどが紹介されており、若年者を支援する私にとってみれば、彼らの多様なニーズに対して、どのような支援のあり方が効果的であるかということをあらためて考えさせられる。
私のフィールドでは相談者の抱えている就労相談は大きく2つに分けられる。ひとつは就職活動から採用に至るまでの相談であり、ふたつは採用後、継続的に就労していくための相談である。
いずれの場合であっても、キャリア・コンサルタント(以下、コンサルタント)が相談者の支援をする上で大切なことは、人間理解の視点を前提に据えることだと思う。人間理解はコンサルタントの人間性に支えられており、まず、私はあたかも相談者であるかのように彼らの体験的な世界に寄り添おうと努力する姿勢を大切にしている。相談者は様々な問題を抱えつつ、どのようにすれば産業社会へ参加することができるかという不安を持っている。激動する社会の中で相談者が就労の機会を得ようと切望している状況下で、私は彼らがどの様な生活環境、経済的背景、心身上の問題を抱えているのかについて、より正確にその状況を把握することが大切であると思う。
そのため、私は相談者の全体像を見立て、コンサルティングの方針を立てていくようにしている。特に私は相談者を個の視点からのアプローチおよび個と集団(家族、組織など)の相互作用の視点からアプローチすることが必要だと思う。
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