午後1時30分、定刻に分科会は始まった。参加者は約50名であった。冒頭で「このようなマニアックなテーマの分科会にお越し頂きありがとうございます。」とご挨拶をすると、会場には笑いが起きた。失礼な言い方であったかもしれないが、緊張感が漂う会場でリラックスして頂きたいとの思いからであった。
始めに、私が問題提起を行った。「生活保護受給者の方々は、一般に言われるように就業意欲がないわけではなく、働きたいとは思うが、一歩を踏み出すことができない状態なのではないか。その根底には、自己効力感(セルフ・エフィカシー)の低さ、ストレス耐性の低さ、があるのではないか。」との仮説を述べ、会場への問いかけを行った。続いて向井氏から、大阪市の生活保護の現状と就業支援施策をデータに基づいてご発表頂き、奥田氏からは、現場のケースワーカーとして、嶋野氏からは、キャリア・コンサルタントとしての関わりの中から、それぞれ感じていることをお話し頂いた。この後宮城先生から、実際の現場は知らないが、との前置きをされたうえで、パネリストの発表から推察すると、やはり「自己効力感(セルフ・エフィカシー)の低さの問題がある。それには認知行動療法のアプローチが効果的ではないか。」とのコメントを頂いた。少しづつ小さな成功を体験し、それを承認することによりセルフ・エフィカシーを高め、次のステップに進んでいく、これを繰り返すことによって、やがて自立への道へと進んでいくことができるようになるとのお話しであった。
後半の質疑応答では、参加者から用紙に書いて提出頂いた質問に、パネリストと宮城先生が応答する形で進めていったが、予想を上回る約30件の質問を頂いた。参加者の、この問題に対する関心の高さが伺えた。後でわかったことであるが、参加者の多くは生活保護受給者の支援に携わっている方、また、かつて携わっていた方であったようだ。質問内容は、「就業に至った成功例」、「就業後の定着支援」、「制度上の問題」に集約された。これはこうした課題に対する有効な解決策が、いまだ見いだせていないことの証しではないかと思う。
今回の分科会の目的は、解決策を見いだすことではなかった。より多くの人々の関心を集め、知恵や行動を集約し、解決に向けてのムーブメント(力動)を創り出すきっかけとすることにあった。社会に向けて発信し、きっかけを創り、やがて大きなムーブメントに繋げていくこと、これもまた、キャリア・コンサルタントの果たす役割であると考えている。
☆参考文献☆
キャリア・コンサルタント全国大会 2007 第9分科会発表資料
|