大学での後期授業が終わった。対象は1年生、科目はキャリアデザインである。
この科目の目的は二つある。一つは、科目名にもあるように、自分のキャリアをデザインする、つまり、将来を考えること、もう一つはコミュニケーション力を高めること、である。そのため、後半の4回は学生各自が作成した、自分のキャリアデザインに基づくプレゼンテーションを行った。
受講者は40名、毎回10名ずつ、2分のプレゼンテーションを行い、発表者の感想と、聴衆である学生に評価をしてもらった後、講師である私が講評を行う。どの学生にも共通する感想が、「人前で話すことは緊張し、時には頭の中が真っ白になり、用意した内容を十分に話すことができなかった」というものだ。もちろん、中には人前で話すことは得意であり、快感だと言う学生もいる。しかし、これはかなり少数派だ。小学校から高校までの12年間の授業において、クラスで発表する機会は多かっただろうと思うのだが、どの学生も人前で話すことには慣れていないと言う。これは、高校までの授業が、未だに教師が知識を伝えるという一方通行の形式で行われていることを示しているのだろう。そのため、授業は教師の話し(講義)を聞くものと決まっており、発言をするときは、教師から指名があった時のみというものが常識になっているのだろう。
私の行っている授業は、学生との対話や学生同士のディスカッションがとても多い。そのため、学生の感想の中には、「この授業が一番大変だ。自分で考えなければならないから。」というものもあった。他の授業では、自分で考えなくてもよいのだろうか。全く自分で考えなくてもよいというほど極端ではないにしても、教師からの一方通行型の講義が多いことは確かなようだ。 |