キャリア形成推進マガジン
キャリア・コンサルティングの現場からの報告

2008年1月10日配信
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キャリア・コンサルティングの現場で思うこと~その7~
【2】
社団法人 日本産業カウンセラー協会 関西支部 キャリアカウンセラー部長  橋本 俊作
 の科目が開講された背景には、就職対策がある。企業が求める人材は、問題発見解決型であり、求める能力のトップはコミュニケーション力であるという。つまり、自ら考え、行動し、また、相手の言うことを理解し、自分の意見を分かり易く相手に伝える力を持った人材を求めているということだ。このような人材は、一方通行型の講義からは絶対に生まれないと言ってもいいだろう。教師が知識や解答を与えるのではなく、教師は学生に対して問いかけを行い、学生は自分で考え、自分の意見を述べるという形式の授業の中からこそ、このような人材は生まれてくると思う。
 のような双方向型の授業を行っている大学では、米国のハーバード大学が有名である。特に、経営大学院においては、すべての科目がケーススタディと呼ばれる徹底したディスカション形式の授業で行われている。学生は実際の企業活動における事例(ケース)を予習し、何が問題か、解決策は何か、の自説を用意し授業に挑む。授業では各学生が考えてきた自説に基づくディスカッションが行われるわけであるが、教師が発する質問は、ただ一つ「君が最高経営責任者であれば、どのように考え、行動するか。」である。これらの授業では、ただ聞いているだけで発言をしなければ、確実に退学になるという。さすがは、世界最高峰のビジネススクールであると言えるだろう。
 ころで、教育論で著名な吉田新一郎先生が最も感銘を受けた教育関係の本は、「Freedom to Learn(邦訳:新・創造への教育)カール・ロジャース著」であるという。カール・ロジャースとは、もちろん来談者中心療法のあのロジャースである。来談者中心療法の特徴は「カウンセラーが指示をすることなく、傾聴、受容と反射(問いかけ)によって、クライアントが自ら考え、答えを見い出す。」というものである。吉田先生は『教育の鍵は、知識よりむしろ「問いかけること」です。教師は、子供にどう問いかけたらよいかを心得ていなくてはなりません。教育とは、子供達がただ「受ける」ものではなく、教える者と学ぶ者の共同作業にほかならないのです。』と語る。このような教育においてこそ、自ら考え、そして行動する人材が育つのではないだろうか。
 ャリアデザインには、用意された答えはない。だから、自分で考えて、答えを見つけなくてはならない。なぜなら、デザインするものは誰のものでもなく、自分の人生なのだから。

 ☆参考文献☆
  「効果10倍の<教える>技術 授業から企業研修まで」 吉田 新一郎 (PHP新書 2006年)
  「大学新卒者に求める「能力」の構造と変容
      ―企業は「即戦力」を求めているのか―」 
リクルートワークス研究所 (2006年)

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