組織内プロの活用を示す戦略人材論
D.ウルリッチは人材マネジメント部門が企業の戦略達成に貢献するためには、従来からのスタッフとして支援業務を行うだけでなく、戦略を推進する役割を果たすことが求められるとし、「戦略的人材経営論」を主張している。人材マネジメントと経営戦略を統合し、戦略的人材経営を実現するには、組織変革の推進が必須となるが、その推進者は外部の専門家というより、組織内の仕事と人を熟知し、高い信頼を得ている組織内プロフェッショナルであると考えられる。
また、J.フェファーは教育訓練、企業風土、情報共有、チームワーク、尊厳の大切さを重視し、まさに人材を基盤とする「人的資本論」を論じている。そうした人的資本の向上は安定した雇用環境、長期的視点での育成、信頼関係の醸成によって初めて実現できるものであり、組織内プロフェッショナルの育成や活用と共通する点が少なくない。
組織内プロの育成を支えるナレッジ経営論
「ナレッジ経営論」では、知的資産や知識こそが重要な資産であり、それらをうまく管理・活用することが主張されている。知識という資産を創造・活用するナレッジ経営では、学習能力や交流の場が大切にされ、そこでは人材の重要性が際立っている。そのため知的資産を操り、その価値を具現化できる知識労働者(ナレッジ・ワーカー)こそが企業の最重要な資産と考えられる。誰もがすぐできる非熟練労働に競争力は生じないが、高い技能や知識を持つ人が集まり交流することで、組織に有効で貴重な能力が醸成されていく。これは組織内プロフェッショナルが学習組織という場によって育成されることでもある。
ナレッジ経営は、その中心となるのが人間か情報技術かにより、人間系とIT系に分かれる。これまでは技術やITの方が人間よりもずっと取り組みやすく先行しがちであった。費用などの形式知だけで判断し、仕事を簡単に外注してしまうといったことは、技術先行による不均衡がもたらした実例である。人間や知的資源の質的評価や基本的役割の認識は不足しがちだが、組織内プロフェッショナルには的確な評価活用が期待される。
「資源ベース戦略論」での非代替資源、「戦略的人材経営論」の戦略貢献スタッフ、「人的資本論」での信頼醸成者、「ナレッジ経営論」における知識労働者、それぞれを組織内プロフェッショナルと捉えることで、組織内プロフェッショナルが競争力を生み出していることの証左とすることができよう。
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