キャリア ナウ  

2007年4月12日配信
キャリア ナウ 一覧へ戻る
中途採用か出向受け入れか:移動先企業の見解
【2】
明治大学 政治経済学部 教授   永野 仁
両者はどう異なるか
 人材を獲得するのは、社内に人材ニーズがあるからである。このような当たり前のことが、中途採用や出向受け入れでは成立しているのだろうか。最初にこの点を分析してみた。その結果、この2つの方法は、どちらも人材獲得の手段ではあるが、全く異なるメカニズムで発生していることがわかった。中途採用は、経営状況が良く中高年者の不足感がある企業で実施されていて、確かに人員を必要とする場合に発生していると考えることができた。しかし出向の受け入れは、経営状況があまり良くなく、何よりもむしろ中高年者に対する過剰感がある企業で、実施されていたからである。
 では出向は、人材ニーズのない企業が無理やり人材を受け入れるための手段なのだろうか。しかし、これだけ普及している慣行に合理性が全くないとは思えない。合理的な移動とそうでない移動が混在しているので、このような結果になっているように思えた。
 そこで次に、出向者の受け入れに当たって、「送り手側からの要請」が強かったのか、それとも受け入れ側である「自社からの要請」が強かったのかで区分してみた。前者を移動元から押し出された移動という意味で「プッシュ型」とし、後者を移動先に引き込まれたという意味で「プル型」とし、それぞれについて再度、同様の分析を行ってみた。その結果、プル型の出向受け入れは中途採用と同様のメカニズムで実行されていることがわかった。というのは、プル型の出向は中高年の不足感がある企業で受け入れられていたからである。しかし他方、プッシュ型ではやはり中高年者に対する過剰感がある企業で受け入れが行われていた。
 これらのことから、実際の出向は中途採用との共通性のない「プッシュ型」が多いため、結果としての全体の出向受け入れが、中途採用とは異なる結果を示していると考えられた。
<< 前に戻る 2/4 続きを読む>>
▲このページのTOPに戻る