キャリア形成推進マガジン
キャリア・コンサルティングの現場からの報告

2007年11月10日配信
キャリア・コンサルティングの現場からの報告 一覧へ戻る
キャリア・コンサルティングの現場で思うこと~その5~
【2】
社団法人 日本産業カウンセラー協会 関西支部 キャリアカウンセラー部長  橋本 俊作
 活保護受給者の気持ちは、自分なりの解釈ながら理解したと思った。しかし、理解したところで社会の基準から外れていては就業することなどできない。カウンセリングの理論の一つである認知行動療法によれば、認知のズレを修正し意識変容を促し、行動変容に繋げる、となるが、簡単なことではない。「いったい、どうすればよいのだろう。」と悩む日々が続いたが、一つ明るい兆しが見えてきた。それは、就業体験と呼ばれるプログラムに参加した、ある人の意識と行動に変化が見え始めたことである。仕事自体はいわゆる雑務であり軽作業である。当初その人は、自ら希望して就業体験に参加したにも拘らず、様々な理由、例えば、「交通費を食費に使ってしまったので行くことができない。」とか「人間関係がうまくいかない。」などで、休みがちであった。これらの(その人にとっての)大問題を担当ケースワーカーの尽力によって解決することで、徐々に仕事に慣れ始めたころから変化が現れた。今その人は、就業体験後の就職活動にも強い関心を見せ始めている。就業体験はまもなく終了するが、この体験が就職に結びつき、自立への道を歩んでもらえることを期待している。

 方、同じように就業体験プログラムに参加しても、途中で辞めてしまう人もいる。支援側の問題もあったのかもしれないが、やはり、どの人にとっても万能と言える支援方法はないと言えるのだろう。対象者によって効果のある支援方法は異なる。ある人に効果があったからといって他の人に効果があるとは限らない。キャリア・コンサルタントは、それを見極めなければならないと思う。そのために重要なことは、決して焦らないこと、ではないだろうか。じっくりと、対象者の話しを聴き(傾聴)、その話しを否定せず(肯定)、あるがままの姿を受け入れ(受容)、あたかもその人であるかのように感じる(共感的理解)。

 れもまた『社会が求めるキャリア・コンサルタントのチカラ』ではないだろうか。

 ☆参考文献☆
   「認知行動療法」 坂野雄二 (日本評論社 2005年)
   「キャリアコンサルティング研究会 報告書」 中央職業能力開発協会 (平成19年3月)

<< 前に戻る 2/2 最初のページへ戻る
前号 次号
▲このページのTOPに戻る