| 大学での後期授業が始まった。後期は2校においてキャリアデザイン科目を担当する。1校は工学系大学、もう1校は文系の大学で、どちらも1年のクラスである。 キャリアデザインという科目は、数年前まで大学には存在しなかった科目である。しかし最近は、実数は把握していないが、かなり多くの大学で低学年の科目に取り入れられているようだ。なぜ、このような変化が起きたのか。その大きな要因は就職対策である。昨年から学生の就職は好転には向かっているが、それまでの就職氷河期での教訓から、学生が低学年から就職に対する意識を持つ必要性を大学側が痛感したことが、キャリアデザイン科目開講に踏み切った大きな要因であろう。しかし、キャリアデザイン科目の目的は単なる就職テクニックを身につけることではない。バブル期の大量採用が大きな負の遺産となり、その反省から企業は単に採用数を増やすのではなく、一定の基準以上の学生しか採用しない方針をとるようになった。従って、エントリーシートの書き方、面接での応答の仕方といったテクニックを身につけるだけでは内定を獲得することはできず、その学生が、「何をしてきたのか」、「何を身につけたのか」、「将来何をしたいのか」、「どのような人生を送りたいのか」、という深く自己の内面に関わることに答えられなければ、希望する職は得られなくなっている。この自己の内面を掘り下げて考えることこそ、キャリアデザインが目的とすることである。1年の時から、大学で何を学ぶのか、また、何のために学ぶのか、将来どのような姿になりたいのか、学生たちは十数回の授業の中で、考えていくことになる。
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