前号 キャリア・コンサルティングの現場からの報告
次号

2007年9月10日配信
キャリア・コンサルティングの現場からの報告 一覧へ戻る
キャリア・コンサルティングの現場で思うこと~その3~
【1】
社団法人 日本産業カウンセラー協会   関西支部
キャリアカウンセラー部長
  橋本 俊作   《プロフィール》
 ャリア・コンサルタントのスーパービジョンをしていてよく思うことは、「なぜこれほどキャリア・コンサルタントが、自分の価値観でクライアントを評価してしまうケースが多いのだろうか?」ということである。例えば、学校を出て就職した会社には定年まで勤めることが正しい在り方だとキャリア・コンサルタントが思っている場合、クライアントが「会社を辞めたい。」と言った時に、まず、「我慢が足りないのではないか。」と感じてしまう、などである。

 は、自分が生きてきた時代を背景にして自分の世界を創っているとされる。それゆえ、その時代で"常識"とされたことによって世界観を形作っていると言える。先に挙げた例は、バブル崩壊以後、何度も言われてきた終身雇用は終わったのか、というテーマに関わることであるが、終身雇用の時代を生きてきた人にとっては、最初に就職した会社で仕事人生を全うすることこそ正しい在り方、と刷り込まれているのだろう。従って、転職をすることはその"正しい在り方"から外れる生き方、と感じてしまうのだと思う。

 ウンセリングにおいては、カウンセラーがクライアントに対する態度として、「中立性」が求められる。つまり、自分の価値観でクライアントを評価してはならないということである。これは、カウンセリングをベースとするキャリア・コンサルティングにおいても同じであろう。それゆえ、キャリア・コンサルタント養成講座においても中立性が重要であることは教えられている。講座を修了し、資格を取得しているキャリア・コンサルタントであれば、当然中立性が重要であることは認識しているはずである。それにも拘らず、なぜ自分の価値観でクライアントを評価してしまうキャリア・コンサルタントがこれほど多いのだろうか。

  1/2 続きを読む >>
▲このページのTOPに戻る