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キャリア・コンサルティングの現場からの報告
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2007年11月10日配信
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キャリア・コンサルティングの現場で思うこと~その5~
【1】
社団法人 日本産業カウンセラー協会 関西支部 キャリアカウンセラー部長 橋本 俊作 《プロフィール》
 ャリア・コンサルタント全国大会が、12月23日に大阪で開催される。今回は初の関西での開催である。全体テーマを『社会が求めるキャリア・コンサルタントのチカラ』と題し、午前は、講演とシンポジウム、午後は、11の分科会が行われる。毎回、この大会には、全国から1000名のキャリア・コンサルタントが集まる。今回も盛会となることだろう。

 後の分科会の一つを私が担当することになった。テーマは、『社会的弱者に対する就労支援の現状』である。社会的弱者と言うと、障害者、ニートを思い浮べる方も多いと思うが、今回は生活保護受給者を対象とした。以前にも述べたが、生活保護を受けている人々は、決して「働きたくない」と思っているのではない。その人の主観では、「働けない」のだ。ただ、その理由は一般の人々から見れば、ただのわがままになるだろうと思う。例えば、「自宅から徒歩か自転車で行ける距離の会社で働きたい。」「電車で通勤することはできない。なぜなら人の目があるので服装に気をつかわなくてはならないから。」また、ある若年者は、出勤初日に「厳しいことを言われた。初対面なのに失礼だと思って辞めた。」などである。いかがだろうか。やはり"わがまま"と思われるだろうか。私も、支援を始めた当初は、「なんてわがままなのだろう。これでは仕事に就くことなんてできない。」と思いかけた。しかし、カウンセリングの基本である、受容(その人のあるがままの姿を受け入れる。)、そして、共感的理解(あたかもその人であるかのように感じる。)を思い起こし、思い留まった。確かに、彼ら彼女らが言うことは、社会的尺度から見れば、それは単なるわがままであり、"我慢すべきこと"、となるだろう。しかし、彼ら彼女らは真剣である。だから「働けない」のである。

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