| キャリアデザインの目的は、もう一つある。それはコミュニケーション力を高めることである。自己の内面を掘り下げ、将来の自分の姿を描くことができたとしても、それを伝えることができなければ人はわかってはくれない。どうすれば人が理解してくれるのか、どのような伝え方が人の心に届くのか、これらを学び、身につけることが、もう一つのキャリアデザインの目的である。
自分の内面を掘り下げて「生きる意義」を見つけること、また、それを人に伝えるコミュニケーション力を身につけること、どちらも簡単に身につけることはできない。その証拠に企業においても、各年代ごとに、自分の将来について考える研修や、傾聴、アサーション、プレゼンテーションといったコミュニケーション力を高める研修が行われている。半年で身につけることは、せいぜい基礎に過ぎない。しかし、この半年での授業がきっかけとなり、その後の大学生活において、意識、能力を高めていくことに繋がれば、やがて大きな成果となって実を結ぶことになるだろう。
先日、キャリア・コンサルタントが集まって研究会を開催した。テーマは、「企業が大学生に求める能力」である。参加者は、大学のキャリアセンター職員、企業の人事担当者、就職支援コンサルタントなど、様々な分野でキャリア形成支援に携わる人たちである。資料には、リクルートワークス研究所、客員研究員の岩脇千裕氏の論文を選んだ。議論の結果、最も学生に求められるのは、やはりコミュニケーション力だろうという結論に至った。そして、コミュニケーション力を高めるために有効な方法は、授業だけでなく、学生生活全般においてコミュニケーションを意識することではないか、となった。考えてみれば当然のことかもしれない。コミュニケーションは、私たちが日常行っている行為であり、それを高めるためのトレーニングも、また日常の中にあるということである。
これからの半年、一人でも多くの学生が自分の将来についての意識を持ち、一歩を踏み出していって欲しいと思いながら、どうすれば彼ら彼女らに伝わるのだろうかと悩む日々である。
☆参考文献☆
「大学新卒者に求める「能力」の構造と変容」 ―企業は「即戦力」を求めているのか―
岩脇 千裕 (リクルートワークス研究所 2006年)
http://www.works-i.com/flow/survey/download.html#112
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