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2.個人と組織の適合
働く人の欲求と組織からの要請との間には、不適合があると考えた研究者に、アージリスがいる。個人と組織の不適合は、従業員の組織での不適応行動を引き起こすのである。
働く個人は、主体性が発達するにつれて、依存的から独立的へ、受動から能動へと成熟していく。しかし組織は、能率を追及するほど、大組織になるほど、また、末端の従業員になるほど、担当する仕事は細分化され、単純化され、機械化される。組織は、従業員に決まった仕事を決まったようにやるような従属性を強制する。ここに、成熟していく個人の成長の欲求と、未成熟のままにする組織からの要請との間に不適合が生じるのである。その結果、個人は欲求不満や葛藤を起こすことになり、次のような行動をとる。(1)欠勤や転職、退職など、その状況から逃れる。(2)組織の目標に無関心になる。(3)攻撃、無責任など防衛的になる。(4)自己の成長や創造性に重きをおかず、金銭その他の物理的な報酬を重視する。(5)組織の中で出世するために激しく働く。(6)不平、不満を正当化できるようなインフォーマルグループを作る。
従業員がこのようなストレス反応を示し、自己の可能性を重視しないで、やる気をなくしていくのは、従業員個人の性格や根性の問題よりも、むしろ組織の要請の在り方や、不適合によると考えるのである。仕事生活の質(QWL=Quality
of Work Life)の向上など、仕事の人間化が工夫され、職務拡大、職務充実が図られているが、職務の設計とともに、個人の成長を育む組織風土が大切となる。
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