キャリア形成推進マガジン
キャリアに関する研究者からの提言 【キャリア・ナウ】

2010年3月10日配信
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学生の成長≒社会の成長
【2】
社団法人 大阪府経営合理化協会 人財開発部マネージャー 土肥 眞琴
 者の雇用確保のため、企業・社会に「理解を求める」のは、「理解があれば何らかの行動が起こるはず」だからであり、極論を言えば、「行動」があれば「理解」は後付であっても構わないと考える。例えば、障がい者の法定雇用率を大企業、国・地方公共団体に重点化して引き上げ、未達罰則を強化することで、各職場で受け入れられる障がいのある方が増えるという環境条件を先に作り出し、この条件下で、快適な職場環境を整え、生産効率を維持するために必要な方策を考案し実行するという発想の方が、発展的・生産的ではないか。「こうすればこんな問題が生じる」では、「だから、実行しない」になってしまうのが常である。
 「この問題が解決できれば、こんなことができる」という発想は、当然学生・若者の側にも必要である。就職情報サイトや、大学等の求人情報で公開されている企業だけでなく、自ら関心のある企業にアプローチしていく試みがあってよい。この点、留学生は採用予定のある企業が限られているため、自分から企業に問い合わせたり、僅かな関わりも逃さず採用情報を求めるのが普通になっており、非常に積極的である。いきなりの求職活動ではハードルが高すぎるのであれば、インターンシップやアルバイト先を自己開拓するレベルから挑戦する方法がある。最近はアルバイト先を確保するのも難しくなっているが、アルバイト募集をしていない企業にも、自分から積極的に売り込んで長期のアルバイトを確保している学生もいる。最初から無理と決めつけるのではなく、「こうすれば、実現できる」という発想で、まずは「やってみる」勇気を持つことは、必ず次につながる。

 「自分のキャリアは自分で考え、自分で決めることが必要」と学んできたかもしれないが、「自分だけで考え、自分だけで決める」必要は決してない。自分の状態をよく理解し、自分に必要な支援を求めることができることは、立派な能力である。
 この1~2年の間、新卒採用環境は非常に厳しいものになるであろうが、現在の大学・短大1・2年生には、「こうすれば、実現できる」発想が既に浸透しつつあることを感じる。
 不況を嘆くのではなく、このような厳しい環境にあっても、満足いく「働き方」「生き方」を実現するためには、何が必要かを考え、行動を起こしている。
 最近の就職難を受け、「やりたい仕事、なりたい自分を考えさせるキャリア教育は間違っていた」という批判を聞くことがあるが、「やりたい仕事、なりたい自分」を考えることは、そのために必要な行動に気づき、実行するために不可欠であることを、多くの学生は十分理解している。「ただなりたいと思っているだけではダメ、実行しなければ妄想でしかない」ことを、ちゃんと理解している。激変する社会環境に流されるのではなく、適応していくために、何よりもまず自分自身を理解しておくことの重要性・必要性も認識できている。
 「理解」「認識」が実際の「行動」に繋がっていくためには、支援者の関わりが重要である。インターンシップやアルバイト、サークル等の活動体験を、単なる「体験」で終わらせてしまうのではなく、次の活動段階へ発展させる「学びの機会」として意味づけ・整理することの支援や、日々の学生生活と実際の社会生活・職業生活との関連付けを行うなどの支援が重要になる。

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