キャリア形成推進マガジン
キャリアに関する研究者からの提言 【キャリア・ナウ】

2010年2月10日配信
キャリア ナウ 一覧へ戻る
プラス・サムの支援
【2】
社団法人 大阪府経営合理化協会 人財開発部マネージャー 土肥 眞琴
 れほどまでに努力しても、ゼミ、サークル、アルバイト、就職活動など、学生生活の様々な場面で、うまく適応できない可能性は常に存在する。特に困難を感じるのは、就職活動においてであろう。近年の採用選考においては、学生の対人関係構築能力・社会適応性を重視する選考が多く、「発達障がい」及びその可能性がある学生にとって、一番不得手な領域で選考されてしまうため、思うような結果を得られないことがほとんどである。
 企業等の採用担当者の中には、必ずしも「発達障がい」についての理解が十分ではない者もおり、学生の人格まで含めた「全否定」をしてしまうこともあり、自分には理解できない基準でのダメ出しを受け続けることによるダメージの大きさは計り知れない。

 「発達障がい」の可能性があるのであれば、医療機関・専門相談機関を紹介し、しかるべき援助を受けるべきではあろうが、実情はそう簡単ではない。「発達障がい」に対する社会一般的理解は決して正確でも十分でもなく、(前回の原稿の結びで「軽度発達障がい」という用語を用いたが、この用語はICD-10DSM-IVに定義されたものではなく、意味する範囲も明確ではないが、「軽度」の表記が情緒的に受け入れられやすいため、筆者は便宜的に使っている。「軽度」は、「知的遅れがない、あるいはあっても軽度である」を意味するが、「軽度」だから社会生活上の不便・不利益が「軽度」であるということではなく、むしろ「軽度」であるがゆえ、必要な理解・支援への結び付きが困難になっている現状がある。「発達障がい」の定義については、「発達障害者支援法」を参照されたい。)単なるふるい分け・ラベリングに終わってしまう危険性があり、「全学挙げて」の支援体制(少なくとも共通理解・認識)が構築途上である中で、本人・家族にとって何が本当に有効な支援になるのか、大学・短期大学が組織としてどこまで関われるのか、教職員は常に苦慮している。
 通常の就職活動では、安定した職業生活に就くことが困難と思われる場合、「障がい者枠」での就職活動を考える必要もあるが、現行制度では、「発達障がい」の場合「精神障がい」での障がい認定申請になるため、決して「精神障がい」を差別・否定する訳ではないが、「発達障がい」の確定診断を受けていても、「障がい者枠」での就職には積極的でないことが多い。「障がい者枠」で就職した場合、担当できる業務内容が限定的になることも、今後一層の改善努力を要する課題である。

<< 前に戻る 2/3 続きを読む >>
▲このページのTOPに戻る