キャリア形成推進マガジン
キャリアに関する研究者からの提言 【キャリア・ナウ】

2010年1月10日配信
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学力多様化とキャリア教育
【2】
社団法人 大阪府経営合理化協会 人財開発部マネージャー 土肥 眞琴
 在、大学・短期大学生の自己紹介書・エントリーシート作成を支援する立場にある人間の多くが、彼ら彼女らの「文章表現力」「文章構成力」に不安を抱いている。自己分析ノート作成の段階では、各自自分の特性・能力について、体験エピソードを加えながら、分析・整理できているのに、企業から指定された書式・様式・文字数で「言語化」することに苦労している学生が多い。個々の要素を一般化・抽象概念化することが苦手なのは、理解・活用できる語彙不足が一因と考えられ、本来自分が伝えたい内容とはかけ離れた文章に仕上げてしまい、自分でも不一致感に悩み、支援者の「それを言うなら○○じゃない?」のアドバイスで、何とか迷路を脱出する。
 年、大学の講義においても、受講感想・学習結果等について自由記述式で振り返り用紙を提出させる機会が増えている。大半の学生にとっては、自己内省した上での「感想・気づき」の文章化による開示を求められる作業は、最初は抵抗があり、面倒に思うようである。結果として「参考になりました」「ためになりました」という、無味乾燥な記述が多い。中には白紙や「わからない」という回答もある。しかし、記述されていないからといって、何も感じず、思わず、学ばず、ではない。言語化できない、あるいはしたくない場合もあるし、時間的に難しい場合もある。また「どう評価されるかわからない」という教員への不信感もある。
 「白紙はNGだが、わからない・難しいは、どこがどのように、なぜわからないか・なぜ難しいのかを書けばOK」と説明すると、それ以降白紙は全くなくなり、各自が率直に自分の言葉(理解するのに苦労することもある)で、感想・気づきを記述するようになったのは、「当然の結果」と思う傍ら、少々驚くことでもあった。振り返り用紙は講義終了後の提出が基本だが、持ち帰って、A4両面びっしり記入してきたり、その回の講義で取り上げた内容について家庭で両親と話し合った感想を、次回の振り返り用紙に記述した学生が現れたのには、嬉しく思う一方、学生の「学ぶ意欲」を引き出すためには、適切なフィードバックを行い続けることがいかに効果的で重要であるかは自明であるにも関わらず、大多数の教職員にとって、そのために必要な時間を十分確保することができない現状改善が急務であることを、改めて痛感する。
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