| 労働組合の責任者としてこの課題を解決するには、一人ひとりのスキルアップや考え方の転換などが必要と考えましたが、一朝一夕にできることではありません。私自身が産業カウンセラ-養成講座に入講した時は"体験カウンセリング"が行われていましたので、他グループのK実技指導者のカウンセリングを受けて、"雇用の場を確保する転進(退職)は避けて通れなく、労働組合の責任者である自分が積極的にかかわるべき"ことを認識しました。そして、このカウンセリング後は積極的に会社と事業構造改革の議論に加わっていくことにしました。私が勤務していた企業・労働組合はきちっとした労使協議の場がありましたので、様々な労使協議を重ねながら「働く場を確保する・失業なき労働の移動を確実に行う」との方向を確認して、"パートナー会社化"という施策を行うこととなりました。内容としては、(1)現在の仕事を継続する(2)工場の場所は現在のまま(3)処遇は市場レベルに合わせる(4)退職金に支援金をプラスする(5)パートナー会社では60歳以降の継続雇用とする・・・などの条件で合意して、施策が実行されてきました。
会社側は事前の労使協議が済んでいますので"転進申し入れ書"を組合に提示します。一方で組合は対象となった組合員一人ひとりと面接を重ねて、了承をいただいてから委員長のハンコを押すわけですが、ここで、キャリアカウンセリングが必要になってくるわけです。組合員としては"なんで自分が会社を辞めなくてはいけないのか"。"自分は会社のために○○年誠実に勤務してきた"。"自分は悪いことをしたのか"。"あの人はどうなのか?"などなど、今までの経験をもとにした一人ひとりの人生に出会うこととなります。当初の面接では「あの人も大変なんだから仕方ないね・・・」など結論の無いむなしく感じる面接でしたが、産業カウンセラーの学習を行った後には"しっかりと傾聴"することで、多くの組合員は自分のおかれた環境を認識し、自分自身のスキルや可能性などの認識を深め「委員長、聴いてくれてありがとう。あっちの会社で頑張るよ」などと発言してくれる方が増えてきました。来談者中心療法の理論【すべての生物(人間)は成長願望がある】ことを認識でき、「厳しい環境下でもその中で、人はより良い選択を能動的におこなう」ことを体験しました。現在では様々なパートナー会社が自律的に事業を行っていますし、転進していった方が再度の事業構造改革に会うことはなく働き続けています。
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