キャリア形成推進マガジン
キャリアに関する研究者からの提言 【キャリア・ナウ】

2008年1月10日配信
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準備のある人のところにキャリアチャンスはやってくる
【2】
立正大学 心理学部 教授  臨床心理士 宮城 まり子 
 かし一方で、キャリア形成は必ずしも目標や方向性を設定してその通りになるとは限らない。特に組織の内で働く人々は自分のやりたいこと、自分の希望する職務に就き、組織の中で将来のキャリアステップを明確に設計できるかといったら、それはなかなか難しいだろう。組織ニーズのもと命じられるままに異動し、必ずしも自分が希望する職務に就けるとは限らない。「自分のキャリアとは何か」と考えても、「これといったキャリアはない、これこそ自分のキャリアだと明確に言えるものはない」というのが、組織内で働く人々の実感ではないだろうか。入社以来ずっと人事、営業、経理という人はなかなか少ない。昨今では、企業の都合で理系のエンジニアが開発から営業へと異動することもあり、自分のキャリアアイデンティティを見失い、混乱し不安を抱く人もいるのが実態である。
 ャリアはこのように事前に計画し設計したからといってそのままうまく計画通りにいくとは限らない場合も多い。しかし、たまたま与えられた担当職務、役割からキャリアが形成されることは非常に多いのである。なぜならその偶然の担当職務や与えられた役割を、自分のキャリア形成の一部として真摯にまずは一生懸命取り組んでみることからキャリアは大いに形成されるからである。それは事前に計画したキャリアではなく、「たまたま偶然」に担当した職務に過ぎないが、自分のキャリア形成の中で、それを「意味あるもの」にすることも可能である。すなわち、キャリア形成にとって大切なことは「たまたまの偶然をいかに意味あるものに転換するか」という努力を行うかである。ある意味、キャリアは偶然の連続のなかから形成されるとも言えよう。しかし、こうしたたまたまの偶然を意味あるものに変え、これを自分にとっての「キャリアチャンス」とするかどうかは自分次第である。
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