キャリア形成推進マガジン
キャリア・コンサルティングの現場からの報告

2008年11月10日配信
キャリア・コンサルティングの現場からの報告 一覧へ戻る
カウンセリングルームから見えるキャリアの諸相
 【第2回】 傾聴について1
【2】
財団法人関西カウンセリングセンター認定 上級心理臨床カウンセラー・キャリアカウンセラー 横山 慶一
何を聴くのか?

 まずは図1をご覧ください。日ごろカウンセリングを行う際いつも気に留めていることです。皆さんはどのようなお答えをお持ちでしょうか?

【図1】
図1

  困っている問題や訴えを正確に把握することが相談活動における大前提なので、まずは来談者の言うことに耳を傾けることが第一歩です。「わたしは傾聴ができなくて」という人が結構多いようです。では、一体何を聴くことが傾聴になるのでしょうか?

話し手が語ることとは?

 傾聴トレーニングの最初のウォームアップとして、ペアを組んで短時間で自己紹介(または最近楽しかったことの紹介、など)をしてもらうことがあります。その時に、聴き手には一生懸命話は聞くけれど「いっさいうなづいたり返事をしないでください。」という指示をだします。大半の人はほぼ無意識にうなづいたり、何らかの反応を返してしまい、反応しないことの難しさを痛感します。本来、人は、相手からの何かを聴き、ほとんど無意識に反応しています。この「何かを聴いていること」が傾聴の基本であり、ほとんどの人は無意識にできるということだと思います。
 ロールプレイを見ていると上手に解決策を伝えられる方、いわゆる傾聴がうまい人と、あまりうまくない人とのパターンが分かってきます。傾聴ができていないという人のパターンは、尋問調であったり、指示型であったりすることが多く、うまい人は寄り添う形で、さりげなく解決のヒントを伝え、相手の口から答えを話してもらっています。

 このような聴き方ができるために、まず話し手(来談者)が何を語っているかを考えてみましょう。来談者が語る際図2のように考えると理解しやすいと思います。

 来談者は大きく知的思考から心の内奥につながる欲求までの広いレベルでの経験を語ります。図2では、事実・出来事、心情(思い)、願望・欲求と3つの区分をしていますが、事実・出来事は心情を含み、心情は願望や欲求(これも心情の一つです)を含むことが多いです。つまり困った問題を語る来談者は、事実を語りながら、そこに多くの心情や願いを込めて話しています。
 尋問調になってしまうケースでは、事実関係の理解と、その具体的解決策の提供という表面的なやり取り、最も上位レベルでのやり取りで終わっているケースと言えます。この場合、いくら正しい解決策を提供していても来談者の心情レベル以下が満たされないため不全感が残ることになり、来談者の思いが十分に聴けていないということになります。

<< 前に戻る 2/3 続きを読む >>
▲このページのTOPに戻る