キャリア ナウ  

2007年7月10日配信
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企業社会の変化とこれからの働き方を考える     
~ その2 ~ キャリアの専門化と評価・処遇システムの見直し
【3】
成城大学 法学部 教授   奥山 明良
 れから、以上との関連で重要となるのが、職場の内外での労働者の様々な悩み、不満等の苦情に対して迅速・効果的に対応できるシステムづくりである。使用者にとって、今日、競争の激化と共に労働力の不足・高齢化の急速な進行の中で、有能な人材を確保し、その能力発揮を促進することが何にも増して重要な雇用戦略となる。他方、労働者の側では、キャリアの専門化が拡大する中での能力主義や成果主義を中核とする人事管理が、労働者各人のキャリア形成とも密接に係わって、職務への配置、そこでの能力発揮、それに対する評価そして具体的な処遇等をめぐって、様々な悩みや不満を抱かせることが多く見られるようになってきている。こうした悩みや不満等の苦情を労働者の個人的問題としてそのままに放置する場合は、労使間に深刻な対立と紛争を惹起し、使用者にとっては職場の秩序が乱され、業務の効率的運営に支障を生じさせ、他方、労働者にとっては職務遂行に対するモラールやキャリア形成に深刻な影響を及ぼしかねない。
 のような労使間の個別紛争を解決する方法として、今日では裁判所による労働審判の制度や都道府県労働局による紛争解決援助の制度(労働局長による助言・指導等や紛争調整委員会によるあっせん等)が存在するが、いずれも裁判所あるいは国の行政機関といった公的機関による紛争解決の制度であり、手続や費用の点なども含めて、労使、特に労働者にとって敷居の高いものとなりがちである。そうした事情を考慮するならば、今後はこうした公的紛争解決のシステムとあわせて、労使間の自主的解決システムの導入が積極的に図られるべきであろう。その場合、非正規労働者の増加や正規労働者における非組合員の増加といった今日の労使を取り巻く状況変化等への効果的な対応ということを考えるならば、単に人事担当者による苦情の相談対応や労働組合による労使協議あるいは団体交渉といった従前の解決システムの確認・踏襲ではなく、公正な第三者(場合によっては企業外の第三者機関)を介した苦情や紛争の自主的そして迅速、効果的な解決を目指したシステムづくりが重要であり、また必要と考える。
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