キャリア ナウ  

2007年7月10日配信
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企業社会の変化とこれからの働き方を考える     
~ その2 ~ キャリアの専門化と評価・処遇システムの見直し
【2】
成城大学 法学部 教授   奥山 明良
 ころで、このように職務を区別して個々に明確化すると共に、職務を遂行する能力に基づく評価・処遇をリンクさせた人事管理のシステムとして「職能資格制度」がある。この制度は、1980年代初め頃より、主として経営コストの削減や賃金管理の適正化を目的に大企業を中心に導入されてきたものであるが、今日では専門職制度や職種別採用など職務そして労働者の専門性を重視したキャリアパスの多様化が拡大、進行する中でその重要性が一層高まっている。この制度は、基本的には職務の内容をいくつかの職掌(事務職、営業職、技術職、専門職等)に分類し、各職掌内で労働者の職務遂行能力に応じた資格(格付け)を設け、さらに各資格はその中で幾つかの段階(級・号)に区別されて、それぞれの級・号や資格と賃金額を対応させるものである(職能給制度)。そこでは、使用者は、労働者各人について、仕事の知識や責任の度合、実績、指導力等、各職掌に必要とされる様々な要素に基づき、その職務遂行能力を判断したうえ、それぞれの資格に配置(格付け)し、またその格付けを上昇(昇格)させ、さらには職位を上昇(昇進)させたりする。
 うした昇格や昇進において重要な役割を担うのが、一般に「人事考課」と呼ばれる労働者の職務遂行能力に対する個別の評価であるが、この人事考課において、何より重要なことは、先にも述べたように労働者の職務遂行能力に対する客観的評価基準とそれに基づいた処遇の公正さの確保である。しかしながら、これまでの人事考課は、各人の能力や成果もさることながら、総じて勤続・年齢と共に協調性、積極性、明朗さ等各人の属性に係わる主観的評価や判断が重視されがちであった。今日では、筆記試験や個別面接を通じての意欲、能力、実績等の客観的評価に比重が置かれ、評価基準の透明性が重視されるようになってきているが、今後、キャリアパスの多様化の中で労使にとってキャリアの専門化が実効ある形で進んでいくためには、労働者の職務遂行能力や職務の専門性に対する客観的な評価基準を設けて、これを労働者へ情報開示しつつ、そうした基準に基づいて公正な評価・処遇が担保されるシステムづくりが重要となろう。
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