まず、企業側における雇用・人事管理の変化であるが、雇用については、定型業務や事務管理業務が縮小される中で、正規雇用が減りパートや派遣等の非正規雇用が拡大し、現在では雇用労働者の三人に一人が非正規雇用という状況になっている。また、正規雇用にあっても職務の専門化(専門的人材の確保や即戦力化)が進み職種別採用や中途採用が増えてきている。
こうした非正規雇用の拡大や職務の専門化の進行の中では、労働者全員を対象とする定期的な人事異動(ジョブローテーション)は見直され、また役職定年制や早期退職優遇制度等の導入により長期雇用の制度や慣行が見直される他、賃金や昇進等の処遇についても年功基準による一律評価ではなく職務・職能や成果を基準にした個別評価が強まっている。さらに、こうした変化は、人材育成についても企業自らのコスト負担による教育訓練機会を減少させている。以上を、ややスローガン的に要約すると、今日の企業の雇用・人事管理は、従前のような中長期的な展望の基での成果達成ではなく、「必要なときに、必要な人材を、必要な数だけ、必要な期間活用」する短期的成果達成を目指すシステム、また処遇についても勤続・年齢ではなく、「個人の意欲・能力・成果に基づく個人評価(人事管理の個別化)」を基礎としたシステムへの移行が進んでいると言える。
こうした企業の雇用・人事管理の変化を労働者の側から見た場合、労働者個々人にとって、もはやこれまでのように正社員として、一方では長期の雇用、定期昇給や一時金の受給、積極的な能力開発等の利益を享受しつつ、他方では上命下服型の人事(定期異動、残業・休日出勤、出向命令等)を通じて定年まで日々の仕事をこなしていくといった働き方は、もはや期待しようとも無理となりつつあることを意味している。別言すれば、今日の労働者に求められるのは、同じ職場の仲間と協調しつつ、何でもほどほどにこなせるジェネラリスト的な働き方ではなく、特別な専門的能力を重視したスぺシャリスト的な働き方なのである。 |