| なぜ、マクドナルドは、アルバイトであるクルーに対して、ここまで大規模でコストのかかるプログロムを用意するのだろうか。その根底には、従業員満足(ES: Employee Satisfaction)こそ売上の伸びに繋がるとの調査結果があるとのことだが、コメンテーターの金井先生(神戸大学大学院)によると、研究結果からはESと売上には、ほとんど相関関係がなく、これは企業としての信念に基づくものではないか、とコメントされた。つまり、働く人々の満足こそ、企業の発展に繋がるとの信念がメッセージとして、明確にクルーに伝わっている結果、熱狂的なクルーが誕生するのだと言える。
同様の例は、ノードストローム、リッツ・カールトンに見ることができる。どちらも、顧客満足(CS: Customer Satisfaction)のモデル企業として有名であるが、やはり根底には、ES、つまり働く人々の満足こそ最も大切との信念がある。
マクドナルド、ノードストローム、リッツ・カールトンに共通するのは、会社がスタッフに対して「あなたは、かけがいのない大切な存在」とのメッセージを、制度やプログラムという目に見える形で、明確に伝え続けていること。その結果、熱狂的なスタッフが誕生していること、と言えるのではないだろうか。
カウンセリングには「私は、かけがいのない大切な存在」とクライアントに声に出して言ってもらうという手法がある。DV被害などで、すっかり自尊心を失ってしまったクライアントに対して行われる例が多い。自尊心を取り戻すこと、つまり、自分を「かけがいのない存在」「大切な存在」と思えることこそ、生きる力を生み出すとの考えがそこにはある。
カウンセリングと企業経営、一見大きく異なるように思えるが、どちらも人を扱うという点において共通性がある。企業の発展の鍵は「私は、この会社にとって、かけがいのない大切な存在、と社員やスタッフが心から信じることができること」と言っては言い過ぎだろうか。
☆参考文献☆
「継続的なビジネス成長へのピープルマネジメント」
モティベーションとリーダーシップ研究会 (配布資料 2007)
ベッツィ・サンダース 「サービス・リーダーシップとは何か」
田辺希久子訳 (ダイヤモンド社 2002)
「リッツ・カールトン物語」
(日経BP出版センター 2004)
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