| 2.日本型組織モードの機能性
高度経済成長期から1980年代に至る時期は、日本型人事管理が競争力の源泉として世界から注目を浴びた時代でした。このとき組織モードは、同僚あるいは関連部署との情報共有による緻密なすり合わせといった分権的な情報システム特性が、能力主義で設計されるインセンティブ制度(職能資格制度)と企業特殊技能の発展を意図したトレーニング様式(幅広いキャリア開発)という人事管理の仕方と補完的に結合する日本独自の形態でした。
というのは、第1に、分権的な情報システムをうまく行うには様々な職場の経験、知識の共有、部門間のコミュニケーションの拡大が必要であったからです。
第2に、企業特殊技能をもつ人材は複数の仕事経験(ジョブ・ローテーション)を通じて育つのであって、特定のやり方のトレーニングがうまく実施できるかどうかは人事管理の仕組みに依存する。つまり、ジョブ・ローテーションを通じて企業特殊技能を与えるには、特定の仕事と結びつかない職能資格制度が向いていたのです。
第3に、管轄を越えるジョブ・ローテーションは全体最適の観点から人事部によって調整される必要があるので人事権は人事部に留保されるようになりました。
要するに、80年代までの定型化された日本型人事管理の様式は、「職能資格制度」、「幅広いキャリア開発」、「人事権の人事部集中」といった特徴を持っていました。同時に、日本型組織モードは、流動性の乏しい労働市場や厳しい解雇整理法制とも補完的に結びついていたのです。
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