キャリア ナウ  

2006年9月10日配信
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個人の自律的キャリア開発と日本型組織モード
【3】
神戸大学大学院 経営学研究科 教授   平野 光俊

3.自律的キャリア開発が要請される理由
 しかし、日本企業の人事管理において、それがたとえ組織内キャリア開発であったとしても、近年何ゆえに自律的キャリア開発が奨励されるようになってきたのかははっきりしません。確かに1つの説明原理はエンプロイヤビリティ(就業可能性)に関わります。
 つまり、1999年4月に発表された日経連報告書が端緒となって、これまでの長期的な雇用関係の中で能力を育成してきたことのメリット・デメリットを再検討しようとする動きに結びついています。エンプロイヤビリティとは、理論的には、流動的な労働市場を前提とし、社員は自分の意志で自由に離職でき、会社は離職がありえることを考慮の上で、他社でも通用しうる職業能力の育成に投資することですから、会社と個人の社会的契約は雇用保障からエンプロイヤビリティに取って代わる。ゆえに自律的キャリア開発が奨励されることになります。
 しかし、現実は、日本の労働市場の流動化は進んでいないというのが最近行われた多くの調査の共通した結果です。また、市場相場が企業内の賃金構造に影響を与えているとも言い難い。自律的キャリア開発は労働市場など外的要因に根ざしているのではなく、「組織の内部構造の様式」(組織モード)の変化によって要請されていると考えるほうが実態に合っていると言えます。
 次号では、近時、日本企業の人事管理において、なにゆえに自律的キャリア開発が進行しているのかを、日本型組織モードの変化から検討してみたいと思います。

☆平野先生には、次号についてもご執筆をお願いしています。☆
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