キャリア ナウ  

2007年2月10日配信
キャリア ナウ 一覧へ戻る
近未来型採用とメンタルヘルスサービス
【2】
早稲田大学 文学部 教授   小杉 正太郎
 う一つは、社員のジョブ・エンゲージメント(積極的就業態度)向上を目的としたトップダウン型のメンタルへルスサービスである。ジョブ・エンゲージメントとは、業務への取り組み姿勢を表す心理学用語であって、仕事に関する積極的な関わりを意味し、定量的に測定する尺度がオランダのユトレヒト大学で既に開発されている。この尺度得点が高く職場のストレス因にうまく対応できる社員ほど、精神的健康は良好でしかも生産性の高いことは言うまでもない。しかし、仕事の種類によっては積極的に働ける者と働けない者とがいるように、社員個人のジョブ・エンゲージメント得点は、担当業務の特徴や企業風土の特色によって高くも低くもなる。
 言うことは、業務全般に関するジョブ・エンゲージメントと業務種類別ジョブ・エンゲージメントとの2種類を考慮した人事施策によって、社員は健康に就業し成果も上げることができることになるのだ。筆者らはこれら2種類のジョブ・エンゲージメント尺度を作成し、いくつもの企業の従業員に実施してジョブ・エンゲージメント・精神的健康の程度・業務成果との関係を調査しているが、このような試みは産業医による従来型のメンタルヘルスサービスではなしえないことであろう。
 ョブ・エンゲージメントを機軸にした企業メンタルヘルスサービスを充実させて、社員の健康と生産性を確保するには、採用時からの対応が不可欠になる。そのためには、「積極的就業態度を評価するコンピテンシー面接」、「業務全般に関わるジョブ・エンゲージメントテスト及び職場のストレス因への対処能力テスト(コーピング適性テスト)などを用いた入社希望者のポテンシャルの評価の実施」、及び「入社後の業務種類別ジョブ・エンゲージメントテストによる配属先の決定」とが、近未来型の企業メンタルヘルスサービスの一つの方向となるだろう。
 業医による従来からのメンタルヘルス施策が企業の社会的責務であることは言うまでもない。しかし今後は、産業医によるメンタルヘルスの施策を充実させた上でのジョブ・エンゲージメントを取り入れたメンタルヘルスサービスの実施が、強い企業体質を作るであろう。
<< 前に戻る 2/2 最初のページへ戻る
▲このページのTOPに戻る