それでは、この両者の共通性は何だろうか...。それは、どちらも実際には行動していない、ということである。但し、虚偽を言っている訳ではない。もちろん、すべてが事実ではないと思うが、どちらも確かに自分では行動していると思っているのだ。
よく言われるように、自分では行動をしているつもりだが、内定を獲得している、あるいは就職していく人たちに比べると行動量が少ない、また、方向性が定まっていないために結果が出ない、ということも確かに言えるだろう。しかし、根底にあるのは、有能感の低さではないかと思う。つまり、就職する気持ちが低いのではなく、就職できるのかどうかに対する不安と、就職した後、仕事を続けていけるかどうかの不安、これら二つの不安を抱えており、できるという気持ちになれないのではないかと思う。従って、自分では懸命に活動をしているのだが、最後のシーン、ここで決まる、という場面において「私が就職なんて、ほんとにできるのだろうか?」との不安が生じ、一歩が出ない状態になっているのではないだろうか。その結果、またもや内定には至らない、就業には至らない、この繰り返しになっているように思う。
ここで、活動を停止すれば、セリグマンが言うところの、「学習性無力感」状態に陥ったと言える。セリグマンによると、どのような状況になっても、決してあきらめない人は10人中に1人はいると言う。つまり、「学習性無力感」状態にならない人が存在するということだ。そして、それはオプティミスト(楽観主義者)であると言う。また、人は誰でもオプティミストに変わることができると言っているが、そのための支援こそ、セラピスト(カウンセラー)の役割と述べている。
これと、同様のことは、デシにおいても述べられている。ここでは、人を伸ばすには、その人のできたことに注目し、それを褒めることによって、その人は才能を伸ばしていくことができると述べられている。言い換えれば、人を褒めることによって、その人の有能感を高め、それが原動力となって、さらに才能が高まっていくということだ。
内定がとれない大学生、就業ができない被保護者、彼ら彼女らに、いかに有能感を高めてもらい、「学習性無力感」状態から脱してもらうか、このことが、現在の私の使命と感じているが、そのためには、これらの人々を支援する私自身があきらめないこと、つまりオプティミストであること、そして、信じること、これらが鍵になるのではないかと思い、支援に努める毎日を送っている。
☆参考文献☆
マーティン・セリグマン 「オプティミストはなぜ成功するか」
斉藤茂太 監修 山村宜子 訳 (講談社 1991)
エドワード・L・デシ、リチャード・フラスト 「人を伸ばす力 内発と自立のすすめ」
桜井茂男 監訳 (新曜社 2003)
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