キャリア ナウ  

2005年12月10日配信
キャリア ナウ 一覧へ戻る
ヒューマン・リソースからヒューマン・キャピタルへ
【2】
早稲田大学ビジネス・スクール 経営専門職大学院 教授   梅津 祐良
■ 業績アップに貢献する人材尊重マネジメント
 では具体的にヒューマン・キャピタル・マネジメント(または人材尊重マネジメント)では、どのようなプログラムが実施されるのか、その主要なプログラムを紹介しよう。

人材が保有する価値をキャピタルとして尊重し、その価値を高めるために効果的な教育投資(訓練と開発)を続ける。ここで銘記すべき点は、自己の価値と能力を向上させるのはあくまで個々の人材の努力と意欲の結果であり、企業はそれらを支援する環境と手段を提供する立場を保つ、という点だ。
人材と組織の生産性を向上させることを通じて、企業も優れた業績を達成する。ここでは、企業は単に財務的成果のみならず顧客に対する成果、社内プロセスの向上、学習と成長のための仕組み作り、更に人材へのフォーカスといった側面でも優れた成果を上げることが求められる。
人材の生産性を高めるために、人材のコンピテンシー(高い成果を上げることに貢献する能力)、コミットメントとモティベーション(意欲と貢献意欲)、コングルーエンシー(個人と組織の目標間の整合性)、クリエイティビティー(創造的活動)の"4つのC"を向上させる。その結果、企業も高いレベルの生産性を達成し、他社が真似できない競争優位性を築くことができる。
各人材が意義と意欲が感じられる目標を設定し、目標達成に向けて各人材のチャレンジを促す。目標遂行プロセスはできる限り個々の自主性を促す仕組みを生みだし、運用する。
公平性、客観性、納得性の高い業績評価システムを作り、その評価結果を効果的に活用する。評価結果を生かし、各人材が向上を求められる分野で効果的な訓練と開発のアクションを推進する。
人材のコミットメントとモティベーションを重視し、高いレベルを維持するために競合他社と同等、もしくはやや上回るレベルの給与と福祉のプログラムを提供する。また金銭面に加え、心理的モティベーター(フレックスタイム、在宅勤務、自律的マネジメント等)を効果的に活用する。
効果性、効率性の高い組織を生みだし、人材が働きやすく、働きがいが感じられる組織環境を作りだす。また人材が仕事と私生活のバランスを保てるような労働条件を維持する。

 スタンフォード大学ビジネス・スクールのJ・フェファー教授は、ヒューマン・キャピタル・マネジメントをしっかり実践している企業こそ優れた業績を上げていることを実証している。ヒューマン・キャピタル・マネジメント(または人材尊重マネジメント)では単に人材に優しいマネジメントにとどまらず、人材にしっかり生産性を発揮してもらう効果的なマネジメントを推進している。
 次号では、人材尊重マネジメントの下における人材の訓練と開発について考察したい。

☆梅津先生には、次号についてもご執筆をお願いしています。 ☆
<< 前に戻る 2/2 最初のページへ戻る
▲このページのTOPに戻る