キャリア ナウ  

2005年9月10日配信
キャリア ナウ 一覧へ戻る
経営戦略と人材育成(2)
【2】
法政大学 キャリアデザイン学部 教授   川喜多 喬
 をどんどん入れ替え、即戦力を外部から採り、ダメなら棄て、また入れる、また棄てる・・そうした人材戦略も、もちろん・・悲しむべきことに・・・あり得る。ただ、私が調べた限り(『中小企業・ベンチャー企業の人材育成作戦』 2005年発刊:東京商工会議所編)、優れた中小企業は、社内で人を育てている。

 だ、社内で人を育てる仕組みは多様である。どこの企業にも通じる「勝利の方程式」など存在しない。それは業務が多様で人が多様で戦略が多様で・・あるからだ。例えば企業へのアンケート調査結果で多数の企業が行っている人材育成手法ほど効果を上げるもので、少数の企業しか行っていない手法ほど無効である、などと単純な数の論理を信じてはいけない。自社に向いた手法であるならば、それでよし。他社すべてが見向きをしなくてもよろしいのである。アメリカではこうやっているなど外資系人事コンサルタントが言ってきても、せせら笑ってよろしいのである。

 品、製品、事業にはユニークさを求め、人の育て方には個性を重視しない。これは浅はかである。とはいえ、一定の重要な条件が似ておれば、採るべき手法はだいたい収斂(しゅうれん)してくるものだと私は思う。ゆえに日本的経営とか、そもそも中小企業ではとか、という形で一般化してはいけないが、事例から学ぶところは大きいのであって、ひとりよがりで自足してはいけない。

 お、カネの問題は大きい。人は本当はカネが欲しいのに生きがいだの働きがいだの、心の豊かさだのゆとりだのと口にする。しかし、賃金制度が人を動機付けたりしなかったり、育てたり腐らせたりすることを忘れてはならない。賃金・昇進制度も人材育成制度である。高い賃金を貰い、大きな椅子に座っている者が「キャリアモデル」には到底ならない人物であれば、そういう組織で人は育つわけがない。働いているふりをしているか、育ててくれる他社を探しているはずである。
<< 前に戻る 2/2 最初のページへ戻る
▲このページのTOPに戻る